「君は悪くない」7

313.センターの気持ち ページ16

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「それで……盗み聞きだし告げ口にはなっちゃうんですけど、ジャンハオ兄さんにはこの事を言わなきゃって。ジャンハオ兄さんにハンビンを励まして欲しいなって思ったんです。ハンビンに一番寄り添えるのはジャンハオ兄さんだから」

「そっか……分かった、あとでハンビンと話してみるよ」

「ありがとうございます。……まあ、本当にお節介だとは思うんですけど……明日フェテク兄さんからも何か話があるかもしれませんし……別のチームの俺がわざわざすみません」


 これでハンビンは大丈夫だろう。ジャンハオ兄さんがハンビンと同じグループで良かった。そうほっとしながら苦笑いを漏らすと、ジャンハオ兄さんは「なんでナナがお礼言ったり謝ったりするのさ」と笑った。



「むしろ違うチームなのに気に掛けてくれてありがと。ごめんね」

「全然。盗み聞きしちゃった手前放っておくのもなんだかなあ……と思ったので。何よりハンビンのことは俺も心配だから。ハンビンの悩みが無くなったら俺も嬉しいっていうか！」

「ならこんな回りくどいことせずに、ナナが直接ハンビンのこと慰めたら良かったのに」

「いや、それは……だって……」


 つい顔が引き攣って、言い淀んでしまう。原因はよく分からないけれどハンビンに避けられてるから、とは絶対に言えなかった。更に拗れそうで。


「だって？ なに？」

「……せ、センターの気持ちはセンターにしか分からないから。ですかね」

「なにそれ？」

「えっと……さっきも言ったんですけど、ハンビンはきっと１位でセンターであるからこその悩みを抱えていて。でも、そういう悩みをちゃんと理解できるのは同じ立場の人だけだと思うんです。やっぱり、それ以外の人だと、いつも１位でセンターなぶん幸せじゃないか〜とか贅沢な悩みだ〜って内心羨ましく思ってしまうかもしれないから。ハンビンもそれを分かっててあんなに抱え込んじゃったんじゃないかなあって。
だから……この場所でハンビンの気持ちを一番理解できるのは同じグループの代表でセンターを担っているジャンハオ兄さんで、ハンビンを一番に理解して寄り添える存在だって、そう思ったんです。ほら、俺は代表でもセンターでもないから。力不足じゃないですか」


 確かに「自分がハンビンと話せないなら他の人に」という良くない考えではあったけれど、ジャンハオ兄さんを選んだ理由はちゃんとあった。
 そう思い返しながら、私はジャンハオ兄さんにそう話した。





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