第二十三話 ページ26
「はい、ストップ」
恐る恐る目を開けると赤色のチェックのマフラーが目に入った。
『ら、…っだぁ、せんぱい…?』
「はぁい、らっだぁです」
にこやかに話す先輩は私の手を掴んで立たせて、流れるように後ろに引っ張った。
なんでらっだぁ先輩が、?
「通りかかっただけだよ、みどりがこっち来いって言うから何があるのかと思ったら…」
ゾム先輩の方へ目を向けたらっだぁ先輩の目は少し冷ややかだった。
「ゾム」
びくりと肩を揺らして座り込んだまま私達の方を見上げるゾム先輩はさっきまでの様子が嘘だったみたいに弱々しかった。
正気に戻った、ように見える。
「ぁ……ご、め……おれ、ちゃうねん…ほん、ほんとはあんなことしたいんやなくて、ッッおれは!!、」
「分かってるよゾム。でもそれはAちゃんには通じないでしょ?俺が来なかったら?みどりが気づかなかったら?…………まぁ見つけたのが俺で良かったよ。コネさんとかシャオさんだったら不味かったかもね」
反省しなよ、と言って踵を返す。私の手を握って
私の手を握って??????
『っえ、え!!!あの、…ちょっと…!!』
ゾム先輩は置いてくの?どこにいくの?なんで私連れて行くの???
たくさん疑問が溢れたけど、どれから消化していいか分からずに困惑しながら先輩について行くしかなかった。
私の考えてることを読んだみたいにらっだぁ先輩は呟いた。
「ゾムのことは一旦置いといて、そっとしといてあげて。……Aちゃんも怖い思いさせてごめんね、ゾムのことは……あ〜俺から話すべきじゃないからあいつ本人から聞いてあげて」
『は、い』
「ま、取り敢えず大事になる前に気づけて良かった。」
『ありがとうございました…』
「お礼はみどりに言ってあげて?俺は通りかかっただけだし…あ、そうだ!」
『へ』
「まだ時間もある…うん、Aちゃんはこの後なんか予定とかある?」
『ない…です』
「良かったらさ、俺らのとこ見にこない?テニス部!」
さっきので頭いっぱいで忘れてたけど部活動見学あったな。今寮に戻っても色々考え込んじゃいそうだし…
『是非、行きたいです!』
「よしゃ!決まり!!」
そういえばらっだぁ先輩と初めて会った時も助けられたな、なんて少し前のことを思い出す。
その後お礼を言いにエーミール先輩とクラスに行ったんだっけ…
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リトマス試験紙 - 最高に面白いです。頑張ってください!!! (12月29日 5時) (レス) id: 597af49ddb (このIDを非表示/違反報告)
汝(プロフ) - あっあああ!!めっちゃ好きです,,,♡ (9月6日 20時) (レス) id: fe2c1e07b2 (このIDを非表示/違反報告)
霙(プロフ) - もこさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです、励みになります。ゆっくりの更新にはなりますが次のお話も楽しんでいただけたらなと思います! (8月5日 23時) (レス) id: c3d88da4d8 (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - 私逆ハー大好物なので嬉しいです!この小説に出てくる実況者様達全員推しなので嬉しいです!更新頑張ってください! (8月4日 21時) (レス) id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
霙(プロフ) - にゃーちゃんさん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけてとても嬉しいです!徐々に色んな方を出して行きたいと思っていますので気長にお待ちくださいませ! (7月14日 22時) (レス) id: c3d88da4d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霙 | 作成日時:2023年1月22日 23時