第二十二話 ページ25
がぶり。噛みつかれた、文字通り噛まれた。
『い"ｯ………』
突然の痛みに理解が遅れる。思わず先輩を押す、抵抗していなかったのか身体は簡単に後ろへと傾いていった。
『(いっった…！！？)』
「あ〜〜ほんま弱っちいな…」
これでもかと顔を歪めて不快感を示してるはずなのに先輩は顔を緩めるばかり。
唇を舐めると確かにする血の味。恐怖よりも困惑が勝った。
『なに、するんですか…ｯ』
ゾム先輩から距離をとって睨む。
「マーキング」
『は、』
いつの間にが縮まった距離、目の前には茶色の髪
「自分のもんにはちゃんと名前書かんと、な」
再び近づく顔に危機感を覚えた、腕はすでに抑えられて身動きが取れない。
『ｯや！！ぞむ、ゾム先輩…！！』
怖い…！！
刹那
バチっ
大きな音に少しの静電気。
恐る恐る目を開けるとゾム先輩が目を大きく見開いて転げている。
なんで転けてるの…？
「な、なん…」
ゾム先輩も何が起こったか分からないようで落ち着かないように目をキョロキョロ動かす。
『ぞ、ぞむせんぱ…』
呆然としたまま動かないのが流石に心配になって伸ばした手はがしりと強く掴まれた。
さっきまでの表情が嘘みたいに
「は、はは……んは！！」
確かに口はわらってるのに
「そうやって、拒絶するんや…」
まるでこの世の全てに絶望したように
「おれの…おれのこと嫌いなんやろ？」
彼は顔を歪めた
「いや、いやや…！！」
「…ｯお、おれレクリエーションのときAのために頑張ったやんなｯ！！」
ぐるぐる、ぐるぐる
冷や汗を流して目尻に涙を溜める先輩は酷く弱ってるように見えた。
「ｯな、なぁ…！！ごほうび、くれへんの…？」
さっきまであんなに暗い顔をしていたのに、ゾム先輩は縋るような赤ん坊が母親におもちゃを強請るように私にそう言った。
今の先輩は明らかに不安定で、出てくる言葉もふわふわしてて支離滅裂。
そう考え込んでる内に私の体は壁に押し付けられ、両手は一つにまとめられて身動きがとれない。もう片方の手で私の頬をするりと撫でる。
『ひ、……』
ぞむせんぱい、
開いた口からギザギザの歯が覗く。髪の間から覗く目はまだ少し潤んでいるけど獣のようにギラリと光って正気だとは思えなかった。首筋に歯が当たって擽ったい、暫く甘噛みを続けた後ぐわりと大きく口を開けた。
「は、だぁいすきやで」
『ｯ……！！』
咄嗟に目を瞑る。
だけど、いつまで経っても痛みは襲って来なかった。
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リトマス試験紙 - 最高に面白いです。頑張ってください！！！ (12月29日 5時) (
レス) id: 597af49ddb (このIDを非表示/違反報告)
汝(プロフ) - あっあああ!!めっちゃ好きです,,,♡ (9月6日 20時) (レス) id: fe2c1e07b2 (このIDを非表示/違反報告)
霙(プロフ) - もこさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです、励みになります。ゆっくりの更新にはなりますが次のお話も楽しんでいただけたらなと思います！ (8月5日 23時) (レス) id: c3d88da4d8 (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - 私逆ハー大好物なので嬉しいです！この小説に出てくる実況者様達全員推しなので嬉しいです！更新頑張ってください！ (8月4日 21時) (レス) id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
霙(プロフ) - にゃーちゃんさん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけてとても嬉しいです！徐々に色んな方を出して行きたいと思っていますので気長にお待ちくださいませ！ (7月14日 22時) (レス) id: c3d88da4d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霙 | 作成日時：2023年1月22日 23時
