470.反対の雰囲気 ページ23
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確かに、いくら機嫌に左右されやすいとはいえ、お金が発生する仕事を途中で投げ出すほどミンジュン兄さんはいい加減な人じゃない。身内に「めんどくさい」とか「最悪」とか文句を言いつつも、仕事はちゃんとする人なのだ(前回の『Say My Name』のレッスンでは途中で逃げたけれど、フィードバックを書いて時間分以上の仕事をしてくれたし、そもそもあのレッスンは最初の予定にはなかったサービスみたいなものだったから)。
そんなことを考えている私に、ヨンジュン先生は「全員酷かったわけじゃないんだけどね」と息をついた。
「ほとんどがもう諦めて、この時間を無駄に思っているみたいな感じだった。今の順位的にそうなってしまうのも理解はできるけれど……だとしてもあれは良くなかったね。少なくともカメラやトレーナーの前で見せる態度じゃなかった。リーダーのウムティとかはあの空気の中で本当によくやってたし、反面すごくもどかしいだろうな」
「そう、なんですね……」
ヨンジュン先生の話を聞いていたら、凄く悲しくなってきてしまった。次に進めるか分からない順位の練習生が多いことは『SuperChanger』も『Switch』も変わらないけれど、こんなにも雰囲気が真逆になってしまうのか。やる気に満ち溢れる『SuperChanger』のみんなを思い出しながら、私もついため息を漏らす。
「……とりあえず、事情は分かったので良かったです。ヨンジュン先生、教えてくださりありがとうございました」
「ううん。こちらこそ愚痴みたいなこと言ってしまって申し訳ないよ。ナナも同じ練習生なのにな」
「いや、全然気にしないでください。ちょうどミンジュン兄さんが怒ってた理由を知るためにミンジュン兄さんを探しに行くとこだったので、手間が省けました。あと別に聞いたことを言いふらしたりしませんし! なるべく忘れます! だから安心してください!」
「はは、ありがとう。助かるよ」
ヨンジュン先生はそう笑ってから、ふと私の顔をじっと見つめた。
「? ヨンジュン先生、どうしました?」
「話は変わるんだけど、前からナナに聞きたいことがあって……」
「はい?」
「…………いや、やっぱりいいや。忘れて」
首を振ってから、ヨンジュン先生は「じゃあ、そろそろ行くよ」と言って。不思議に思いつつも、私は「お疲れ様です」とヨンジュン先生に頭を下げた。
そうしてヨンジュン先生と別れたあと、また『Switch』の練習室の扉が開かれた。
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アップルパイ(プロフ) - なっちぃさん» コメントありがとうございます。楽しんで読んでいただき本当に幸いです! 更新空いてしまって申し訳ないです。なるべく更新ペース上げれるようにしたいので、これからもよろしくお願いします!🥲 (3月3日 23時) (レス) id: a55c9bddea (このIDを非表示/違反報告)
なっちぃ(プロフ) - コメント失礼します。楽しく読ませてもらってました!更新待ってます;; (3月1日 5時) (レス) id: 0ee3ec3e27 (このIDを非表示/違反報告)
アップルパイ(プロフ) - ビニさん» コメントありがとうございます!🥲💕 こちらこそいつも読んでくださりすごく嬉しいです。更新頑張ります!🙌 (2月7日 17時) (レス) @page17 id: a55c9bddea (このIDを非表示/違反報告)
ビニ - いつも楽しく読ませて頂いております!お話の続き楽しみです、更新まってます!🥰 (2月5日 1時) (レス) @page6 id: 0e71c92fc7 (このIDを非表示/違反報告)
アップルパイ(プロフ) - abcdさん» いつも読んでくださりありがとうございます🥲💕 更新空いてしまう時もあるのですが、なるべく早く更新して完結させたい気持ちはあるのでこれからも頑張ります! (1月28日 15時) (レス) id: a55c9bddea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アップルパイ | 作成日時:2024年1月25日 19時