【派生作品】月の少女の記憶の欠片【Mostro Mask】 (ページ6)

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私の名前ページ6

「ハンニバルさんハンニバルさん。今いーい？」

「どうしたんだい、ルナ。」

「教えてほしいことがあるの。みてみて、私の万年筆なんだけどね。」

ルナがずいっと目の前に持ち上げた随分と高価な万年筆。彼女が孤児院へ来るときに持ってきた大事なもののひとつである。
濃紺の地に銀やら金やらで月と星々ほられている。それていて表面は滑らかな、とても美しいものだった。

そしてペン先のキャップのところに、銀色の文字でこう彫られていた。

《 Luna・M・Freia》と

「私のお名前、ルナ・フレイアでしょう。真ん中のMってなんのこと？」

「あぁ、それは……。」

ハンニバルはルナにミドルネームのことを教えた。そして、これは母の旧姓では無いかと言うことも教えた。ルナはその話を興味津々な様子で聞き入っている。
いつの間にか孤児院の子供たちも集まっていた。現在ルナはナターリアに抱きつかれていて、片手で彼女の背中を押さえてもう片手で頭を撫でていた。

「相変わらず仲良しだね。良いことだ。」

「ふふ、ナターシャ可愛いでしょ！私の妹よ。ナターシャよしよし～、良い子良い子！」

「ルナ、それなに？綺麗だけど……ペン？」

「そうよ、お父様とお母様がくださった万年筆。お月様とお星様がきれいでしょ？ここにはルナって書いてあるのよ。」

「へぇー。」

既に説明は終わり、ルナに気を使って小声でおしゃべりをしていた子供たちもワイワイと遊び始めている。

「Mにどんな言葉が入るのかわかると良いね。」

「えぇ、楽しみだわ。」