【派生作品】月の少女の記憶の欠片【Mostro Mask】 (ページ4)

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暖かな日常と小さな孤独ページ4

「とっても楽しそう。やっぱり家族は集まっていないとね。バラバラじゃ悲しいわ。」

窓辺に一人で座って、ポツリと溢す。
同い年のカイに輪に混ざるように誘われたが、今日はどうも気分じゃない。
丁寧に断ってたった一人窓辺に座った。そして今に至る訳である。

冗談を言って、笑って、時々焦って。まるでこの空間だけ、怪物なんて存在しないような暖かい空気だった。

みんながいきいきとしている。好きなことを話して、好きなときに笑って、好きなように感情を表現する。
今の世の中では信じられないくらい幸せな人間たちだろう。

とても幸せで、飛び込んでいきたかった。でもどうにも気が引けて仕方がない。

怪物にこんな醜い傷をつけられた醜い自分が入っていい場所ではないように思えた。
みんな「綺麗だ」と言ってくれるけれど、自分で自分を認めることができなかった。

ぼんやりと話を聞いて仲間を見ていると、ふと両親の顔がおもい浮かぶ。

強く賢い父と、優しく美しい母だった。
モストロに命を奪われた。
でも隠し部屋の小さな生活は、とても暖かかった。

幼い頃のことではあるが、よく覚えている。その暖かさが、仲間に重なった。

気がつけば頬を涙が伝っていた。

暖かくて幸せで溢れた涙と
壊れたらと思うと恐ろしくて溢れた涙

その二つが交わって床を濡らす。
ボロボロと溢れ出した涙は留まることを知らない。いつまでもいつまでも涙が溢れていた。

あら、どうしたのかしら…？なんだか、とてもふわふわとした気分……だわ。