Nr.3 ページ3
「ここに来てまでバレエ?大丈夫なの?」
「はい、もちろんです、お母様。」
大丈夫なはずはない。
こんな極寒の地にある別荘で、それも、倒れたから休むようにと連れてこられた別荘でバレエだなんて。
でも……やらなければならない気がした。
何があったとしても、絶対に。
その勘に後押しされて、クラシックチュチュに着替える。
髪をきつくお団子に結わいて、ストレッチ。
バーに掴まって、プリエ……ピルエット……グランバットマン……。
一通り終わらせて、トゥシューズを履く。
___その瞬間、突然の睡魔に襲われて、意識を手放した。
**
いつものお洋服に比べても、格段に華やかなドレスを身につけた私に、にっこりと微笑んで来る二人。
「それじゃぁ、後は二人でお話しでもしてなさいね。」
私達を残して、お父様とお母様が部屋を出る。
向かいの席に座っていらっしゃるのは、赤嶺 琉架さん。
どうやらお母様方、私と琉架さんの婚約を考えていらっしゃるようで。
何度もお見合いをしている。
……足音が聞こえなくなった、と。
「ね、琉架さん。今日はもう、抜け出しません?」
「え?」
「もう、この場所でお話しするのも飽きました。いっそのこと、外に出ましょうよ。」
「でも……大丈夫かな?」
「えぇ、もちろん!お母様方がお戻りになられるまでの、約3時間35分です。信頼できるメイドと執事も、少しだけ連れて行きますし。」
「わかったよ。」
その返事を聞いた瞬間、メイドに声をかける。
こっそり作ってきたお菓子を積んで、部屋を出る。
沢山笑った気がしたけれど、楽しい時間はすぐに終わる。
夕日がさしてきたあたりで、ふっと思いたって声をかける。
「ねぇ、琉架さん。」
「どうしたの?何か?」
「私達、ずっとお友達でいましょう。もちろん、婚約もしないで。」
その問いかけに、琉架さんは快く頷いて下さる。
「もちろん。お友達でいよう。」
そっと小指同士を絡めて、約束をする。
『絶対に、お友達です。ずっと。』
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かいs(プロフ) - カレーライスさん» ありがとうございます!大切にお借りします。カレーライスさんの小説も、楽しみにしています! (2018年8月27日 20時) (レス) id: e05f2efe8a (このIDを非表示/違反報告)
カレーライス(プロフ) - 剣士と麗華ちゃんのお話、私の小説の方でも書かせて頂きますね!剣士使ってくれていいですよ!(`・ω・´)フンスッ! (2018年8月27日 19時) (レス) id: a859e8d67f (このIDを非表示/違反報告)
まぁち(プロフ) - 全然大丈夫ですよ!更新、頑張ってください!! (2018年8月27日 17時) (レス) id: 0a3bfc1ea3 (このIDを非表示/違反報告)
かいs(プロフ) - まぁちさん» 私も嬉しい……!(嬉し泣) 更新頑張ります!こんな感じで大丈夫ですか? (2018年8月27日 16時) (レス) id: e05f2efe8a (このIDを非表示/違反報告)
まぁち(プロフ) - わ、わぁ…!絢音が麗華さんとクッキング…!!← 嬉しい…!続き楽しみにしてますね!!(嬉し泣) (2018年8月27日 11時) (レス) id: 0a3bfc1ea3 (このIDを非表示/違反報告)
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