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Nr.4 ページ4

「ぅん…………。」

「麗華!麗華!」

「大丈夫か?おかしいところはないか?」

「はい……なんともありません……。」

訳の分からない私に、お父様とお母様が状況を説明してくださる。

トゥシューズを履き終わった瞬間、外に飛び出した私は、突然雪の中で踊り出したらしい。

オデット、リラの精、ドリアードの女王、ライモンダ。

これらの役を演じたらしいわ。

たった1つでさえとてつもない体力を使うのに、雪の中で、4つも立て続けに踊ったものだから。

バレエ特有のお辞儀をして、顔を上げた途端に倒れたらしい。

「じゃ、お医者さんにお伝えしてきますね。」

「私も行こう。」

そう言って、お父様とお母様が部屋を出て行くと、しんっ……と部屋が静まりかえる。

赤嶺 琉架さん。私にとっても、たった1人のお友達だったわ。

上辺だけではない、本物のお友達。

最近はずっとお会いしていない。

どうしていらっしゃるのかしら?

そのときふっと顔を上げると、ドレッサーの鏡が自分を映していることに気がついた。

刹那、息を呑む。

鏡があったことに驚く要素は無い。信じられないのは私の瞳。

今までは、何の変哲も無い黒色の瞳だった。何の変哲も無い黒色の瞳だったのに……。

今の鏡に映っている私の瞳は、正真正銘のコバルトブルーだ。

きっとお二人は、私が倒れたことのが重大で、気が付かなかったのね。

現実が受け入れられなくて、ふらふらと外に出る。

「麗華、どうした?何かあったか?」

戻っていらしたお父様に声をかけられて、力無く返事をする。

「お父様……私の、私の目……。」

「なっ!?」

お父様も、信じられなくて目を見開く。

私、どうしてしまったの?

もう歩く気力も無くなって、部屋に戻る。

けれど、『弱り目に祟り目』とでも言うのかしら?

たまたま机に飾ってあった青い薔薇に手を触れた瞬間、花弁が凍った。

その花弁からは、氷がサラサラと落ちている。

思わず泣きたくなったわ。


____一体、どうなってしまったの……?

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かいs(プロフ) - カレーライスさん» ありがとうございます!大切にお借りします。カレーライスさんの小説も、楽しみにしています! (2018年8月27日 20時) (レス) id: e05f2efe8a (このIDを非表示/違反報告)
カレーライス(プロフ) - 剣士と麗華ちゃんのお話、私の小説の方でも書かせて頂きますね!剣士使ってくれていいですよ!(`・ω・´)フンスッ! (2018年8月27日 19時) (レス) id: a859e8d67f (このIDを非表示/違反報告)
まぁち(プロフ) - 全然大丈夫ですよ!更新、頑張ってください!! (2018年8月27日 17時) (レス) id: 0a3bfc1ea3 (このIDを非表示/違反報告)
かいs(プロフ) - まぁちさん» 私も嬉しい……!(嬉し泣) 更新頑張ります!こんな感じで大丈夫ですか? (2018年8月27日 16時) (レス) id: e05f2efe8a (このIDを非表示/違反報告)
まぁち(プロフ) - わ、わぁ…!絢音が麗華さんとクッキング…!!← 嬉しい…!続き楽しみにしてますね!!(嬉し泣) (2018年8月27日 11時) (レス) id: 0a3bfc1ea3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かいs | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年6月20日 23時

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