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温い ページ6

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数時間前に買ったパックのミルクティーが当たり前に温くなっていて、俺も今当たり前に屋上にいる
彼女のせいで放課後に屋上にくるのが日課になってしまった


『 聞いてんの?』


彼女は怒ったような口調でこちらを見る
俺は温いミルクティーを一口飲んで答えた


「 聞いてるよ 」


当たり障りのない会話


『 ならいーけど 』


彼女は、屋上の柵に手をかけて足を浮かし、ぐーっと上半身を下に伸ばす
彼女がよくそれをやるから、1度聞いてみたいことがあった


「 なあ 」

『 んー?』

「 お前よくそれやるけどさ、死にたいの?」

『 私が死にたがってたら、紫耀は止める?』

「 止めない 」

『 なら聞かないでよ 』

「 ごめん 」


なんで俺が謝っているのか不思議な気持ちになる
止めない、なんて嘘だ
彼女はいつの間にか俺が学校に来る理由になっていたわけで、屋上でミルクティーを飲まない放課後なんてもう想像がつかない


『 紫耀はさー 』


彼女は柵から手を離し、こちらに振り返る
サラサラのストレートな髪が風に靡いて、きゅんとする
誤魔化すようにミルクティーを喉に流す


『 好きな人いる?』


そんなことを聞くなんて珍しい
いるよ
目の前にいる


「 いない 」

『 意外だね 』

「 そう?」

『 うん、紫耀は私のことが好きなのかと思ってた 』


息が止まる
苦しい、なんでそういうこと言うかな
ずるいんだよ、いつもいつも


「 なんで?」

『 なんでだろうね、わかんない 』


彼女には、好きな人がいる
たった唯一その事に気づいてしまった俺は、あの日から彼女に屋上へ呼ばれるようになった


「 無責任な自惚れ 」

『 で、本当はどーなの 』

「 俺に好きな人なんていないよ 」


自分に言いつけるように投げた言葉を、彼女は受け取らなかった
俺の飲みかけのミルクティーに彼女が口をつける
少しくらい気にしろ、ばか


「 .... 帰るわ 」

『 うん、じゃーね 』

「 おう、死ぬなよ 」

『 なにそれ笑 』


俺は階段を降りる
靴を履き替え、何も無かったかのようにさっき彼女が口付けたミルクティーを飲み干した

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(プロフ) - だださん» わあああ、ありがとうございます( ; ; )どのお話も綺麗なハッピーエンドに出来なくて申し訳なく思ってたのですが、お言葉とても嬉しいです( ; ; )ありがとうございます、! (2019年11月23日 14時) (レス) id: 4f815a03de (このIDを非表示/違反報告)
だだ(プロフ) - 更新心待ちにしておりました!嬉しいです(;-;)陽さんの書く切ないお話がとっっっても好きで、毎回胸を締め付けられます(;-;)全部好きなんですけど、特に飛翔のなんとも言えないむずむずが最高でした…!今回の甘味も切なくて素敵でした!これからも頑張ってください! (2019年11月23日 10時) (レス) id: f8fe4bbe58 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 霞草さん» こちらこそありがとうございます(; ;) (2019年11月1日 20時) (レス) id: 4f815a03de (このIDを非表示/違反報告)
霞草(プロフ) - すごく好きです。丁寧な文章と、温かい確かな記憶がとても素敵でした。感動をありがとうございました。 (2019年10月30日 22時) (レス) id: 402b5f83f6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年8月29日 0時

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