怖いくらいの幸せ(K.K) ページ10
A「幸せすぎて怖い」
丸1日続いた撮影を終えてAの住むマンションに2人揃って帰宅。
手作りの晩ご飯を食べて映画を観て、お風呂に入ってベッドに入った深夜2時。
確かに幸せそのものではあるけれど、何が"怖い"のか俺にはこれっぽっちも分からない。
A「昨日大晴くんに言われたんよ」
小島「何を？」
A「"最近のA丸くなったな"って」
小島「あいつ失礼やな、Aそんな太ってへんで」
A「体型の話ちゃうわ！」
確かに昔と比べればかなり穏やかになったような気がする。
入所当時は"唯一の女の子"であることをコンプレックスに感じていたらしく、他のJrに対して全く懐かなかった。
グループを結成してからはそれを武器に変え、俺らに最大限甘えながらのびのびと活動している。
A「ほんまにこんなんでええんかな、」
大晴に悪気はないと分かりつつも少しだけ腹が立った。
Aの不安を煽るようなことは言わないでほしい。
ただでさえ今まで孤独と戦ってきたというのに。
小島「…ええんちゃう？」
メンバー兼恋人。
世界でたった1人、俺だけがAの特別な存在。
俺はその幸せに恐怖心なんて微塵も感じない。
A「…今の幸せに甘えてぬるま湯に浸かって…向上心とか対抗心とか、そういう自分の中に燃えてたもんがなくなってきてる気すんねんなあ」
俺は7人でいれたらそれで良いと思っている。
勿論いつかは売れたいけど。
A「健くんのことほんまに好きやけど」
小島「…うん」
A「このまま一緒におったら"楽しいだけ"で全部曖昧になりそうな気すんねん」
Aから伝わってくる体温はいつもと何も変わらない。
シーツから香る柔軟剤も、無機質な天井も何もかも。
それなのに今日のAは普段と違う。
言葉も声色も、全部。
小島「はよ寝るで」
A「まだ話終わってへん」
小島「さっきから何やねん、何が言いたいん？」
痺れを切らした俺は語気を強めた。
A「…やっぱり良くないなあって」
小島「何が？」
A「付き合ってることが」
良くも悪くもAは真面目で、アイドルとしての活動に誇りを持っている。
俺だってそれなりの信念を持って進んでいるものの、熱量の差はどうしたって生まれてしまう。
怖いくらいの幸せはAにとっての足枷だ。
A「…ごめんね、健くん」
謝るくらいなら別れなんて告げんといてくれ。
Fin
Emotional photo(N.D)→←お似合いな2人(S.M)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 373人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Aぇ!group」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
わさび醤油(プロフ) - kkさん» 最後まで楽しんで頂き、こちらこそありがとうございました！今後も読んで頂けるように頑張ります！ (2022年8月17日 16時) (
レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
kk(プロフ) - 紅一点設定の短編集ずーっと楽しく読ませて頂きました！たくさんの素晴らしいお話をありがとうございました😍また新しい作品も楽しみにしています💕 (2022年8月17日 1時) (レス) @page50 id: 797470a670 (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - なつきさん» ありがとうございます！次の作品もお楽しみに…！ (2022年8月16日 9時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
なつき(プロフ) - 素敵なストーリーをありがとうございました。新しい作品を楽しみにしています！ (2022年8月16日 1時) (レス) @page50 id: 292579ac7e (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - とんとんまるさん» 素敵なコメントありがとうございます！とっても嬉しいです。今後のお話もお楽しみに…！ (2022年8月13日 6時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：わさび醤油
| 作成日時：2022年7月13日 2時
