もし、今日。(F.T) ページ7
ある日の撮影終わり。
どちらからともなくお酒が飲みたいなんて言い出して、何となく宅飲みの話になって。
そのままの流れでAが1人で暮らすマンションへと足を運んだ。
A「あ〜疲れた〜！」
勢いよくソファに寝そべるA。
先程までのキラキラしたアイドル姿とは違い、等身大のどこにでもいるような女の子。
福本「これ冷蔵庫入れるで？」
A「ん、ありがと」
コンビニで買ったお酒達を片付けていく。
生活感のない冷蔵庫から普段自炊している様子は見受けられない。
福本「何食って生きてるん？」
A「現場行ったら何かしらあるやん」
福本「いや、家でも食べるやろ」
A「んー、あんま食べへん」
やからそんな細いんや―
喉元まで出かけたその言葉。
流石に気持ち悪いと思われそうで胸の奥にしまい込む。
お惣菜を1つずつレンジで温めていく。
食欲を掻き立てるような香りが部屋中に広がった。
福本「最初何飲む？」
A「ビール」
ソファから動く気配すらないAの元へ缶ビールを届けた。
A「ありがと、」
長い付き合いになるけれど、家で2人きりになるのは初めての出来事。
少しだけ緊張している自分がいる。
A「かんぱーい」
緩い掛け声と共に喉に流れ込む炭酸。
入所当時はこうして2人でお酒を飲むようになるだなんて思いもしなかった。
俺らも大人になったんやなあ、なんてクサい台詞が浮かんですぐに消える。
俺らは同期でメンバーで、それ以上でも以下でもなくて。
世の中の男女とは少し違った関係だけど、部屋で2人きりの宅飲みだなんて―
A「大晴、」
福本「ん？」
A「私の初恋、大晴やねん」
歯車が狂う音がした。
いや、もしかしたらここに来た時点で既に狂っていたのかもしれない。
福本「…そうなん？」
A「今でも好き…とは言わんけど」
缶を持つ手に力が入る。
A「もし今日何かあったとしても…」
残ったビールを飲み干した。
A「お酒のせい、やんな？」
やけに艶っぽい横顔。
やっぱ俺らも大人になったんやなあ、なんて。
福本「せえへんよ」
A「え？」
新たな飲み物を求めて冷蔵庫へ向かう。
福本「お酒のせいにはせえへんよ、」
もし、今日何かあったとしても。
Fin
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わさび醤油(プロフ) - kkさん» 最後まで楽しんで頂き、こちらこそありがとうございました！今後も読んで頂けるように頑張ります！ (2022年8月17日 16時) (
レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
kk(プロフ) - 紅一点設定の短編集ずーっと楽しく読ませて頂きました！たくさんの素晴らしいお話をありがとうございました😍また新しい作品も楽しみにしています💕 (2022年8月17日 1時) (レス) @page50 id: 797470a670 (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - なつきさん» ありがとうございます！次の作品もお楽しみに…！ (2022年8月16日 9時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
なつき(プロフ) - 素敵なストーリーをありがとうございました。新しい作品を楽しみにしています！ (2022年8月16日 1時) (レス) @page50 id: 292579ac7e (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - とんとんまるさん» 素敵なコメントありがとうございます！とっても嬉しいです。今後のお話もお楽しみに…！ (2022年8月13日 6時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わさび醤油
| 作成日時：2022年7月13日 2時
