友達として(N.K) ページ44
A「次のオフどっか行かん？」
珍しい誘いに驚いた。
A「2人で」
付け足された言葉で更に驚く。
仮住まいであるホテルのベッドに寝そべった完全オフモードのA。
部屋着、すっぴん、ノーセットの髪。
無防備な姿に疼く胸。
長尾「…何で？」
意に反して可愛げのない台詞を口走った。
素直に喜びを表せない俺はいつまで経ってもお子ちゃまだ。
A「たまにはええやんか」
特別な理由は存在しないらしい。
でも逆にそのくらいが丁度良いのかもしれない。
長尾「どこ行く？」
A「どこでもええよ」
スマホから目を逸らすことなく会話を続けるA。
2人きりで過ごす時間くらいは俺だけを見てほしい、なんて我儘は心に閉じこめた。
"友達"という表現が1番正しいように思う。
メンバーの中で1番仲が良いのはA。
連絡頻度が高いのもA。
互いのことを理解し合っているのもA―
だと思う、多分。
年齢は違えど歴は同じ。
共有してきた時間の密度は計り知れない。
みっちーや高橋くんよりも濃い関係を築いてきた。
仮に俺達がこの事務所に入っていなかったとしても、どこかで出会って"友達"になっていたのではないか―
そんなことを考えては少しだけ切なくなる。
Aの"友達"である自分に満足していないから。
A「海とか？」
長尾「ええやん」
A「レンタカー借りてさ」
長尾「運転は？」
A「知らん道走るん怖いし謙杜が運転！」
部屋で2人きり。
だからといって何も起こらない深夜0時。
"友達"として交わされる約束。
ちょっとは意識してくれてもええんちゃう？
A「デートやな」
長尾「えっ？」
再び驚かされる。
A「…デートちゃうん？」
ゆっくりと振り返ったA。
耳にかかっていた髪が頬に落ちる。
長尾「デート、」
そっと呟いて恐る恐る手を伸ばした。
触れた髪を優しく耳にかけ直し、現れた頬が赤く染まっていることに気付く。
A「…ちょっとは意識してくれてもええんちゃう？」
長尾「えっ？」
俺が思ったことをそのまんま口にしたA。
A「案外鈍いやんな、謙杜」
長尾「…俺って鈍いん？」
何かが起こるかもしれない深夜0時過ぎ。
この約束が果たされる頃には"友達"を超えた存在になっていることを切に願った。
Fin
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わさび醤油(プロフ) - kkさん» 最後まで楽しんで頂き、こちらこそありがとうございました！今後も読んで頂けるように頑張ります！ (2022年8月17日 16時) (
レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
kk(プロフ) - 紅一点設定の短編集ずーっと楽しく読ませて頂きました！たくさんの素晴らしいお話をありがとうございました😍また新しい作品も楽しみにしています💕 (2022年8月17日 1時) (レス) @page50 id: 797470a670 (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - なつきさん» ありがとうございます！次の作品もお楽しみに…！ (2022年8月16日 9時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
なつき(プロフ) - 素敵なストーリーをありがとうございました。新しい作品を楽しみにしています！ (2022年8月16日 1時) (レス) @page50 id: 292579ac7e (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - とんとんまるさん» 素敵なコメントありがとうございます！とっても嬉しいです。今後のお話もお楽しみに…！ (2022年8月13日 6時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わさび醤油
| 作成日時：2022年7月13日 2時
