花のような恋(N.K) ページ36
A「おはようございまーす！」
元気いっぱいの挨拶と共に香る花のような香り。
顔を上げずともそれが彼女のシャンプーだと分かった。
藤原「うるさっ」
A「"うるさい"とか言わんといて！」
西畑「長尾とええ勝負やで」
A「謙杜よりは静かやもん！」
スマホに向けていた視線をそっとAちゃんに向ける。
A「絶対謙杜のがうるさいもん」
頬を膨らませた姿はまるで小動物のよう。
長尾「Aちゃんの方が声でかいっすよ」
俺は笑いを堪えながらそう答えた。
ぷりぷり怒り続けるAちゃんから目を逸らして再びスマホの画面に集中する。
ずっと見ていたら感情が爆発してしまいそうだから。
Aちゃんを好きだと気付いたのは割と最近のこと。
それが片思いだと気付いたのもここ最近の話。
Aちゃんは欲しい時に欲しい言葉をかけてくれる人。
"国民の妹"なんてキャッチフレーズがつくほどの末っ子キャラだけど、俺にとっては年上であり先輩。
俺達後輩しか知り得ないその背中は他の誰かが想像しているよりずっと大きいもの。
A「皆してひどいわ〜」
ブツブツ言いながら隣に腰かけたAちゃんが鞄から取り出したスマホで文字を打ち始めた。
それが誰に向けられたメッセージなのかは―
A「あ、そういえば」
Aちゃんが俺の肩に手を置いた。
A「小島が言うてたで、"長ちゃん最近返信遅い"って」
先輩だけど友達のような関係の小島くん。
遊んだり連絡を取り合ったりプレゼントを贈り合ったりと、ずっと仲良くさせてもらっている。
A「あいつたまに女の子みたいなこと言うからだるいわあ」
"だるい"なんて心にもないことを言うAちゃんに心底嫌気がさす。
長尾「…そうですね」
Aちゃんと小島くんは同期。
そして2人は―
A「…まあでもあいつええ奴やけど」
恋人同士。
本人は隠しているつもりらしい。
付き合っていることを直接的な言葉にすることはない。
だけど俺には分かる。
Aちゃんのことを傍で見てきた俺には、全て。
大阪と東京の遠距離恋愛。
それを微塵も感じさせないくらい2人は仲睦まじい。
長尾「2人、相変わらず仲良しっすね」
A「まあ…同期やからねえ」
長尾「…羨ましい、」
絶対に叶うことのない、花のような恋。
彼女のシャンプーの香りが俺の鼻を擽った。
Fin
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わさび醤油(プロフ) - kkさん» 最後まで楽しんで頂き、こちらこそありがとうございました！今後も読んで頂けるように頑張ります！ (2022年8月17日 16時) (
レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
kk(プロフ) - 紅一点設定の短編集ずーっと楽しく読ませて頂きました！たくさんの素晴らしいお話をありがとうございました😍また新しい作品も楽しみにしています💕 (2022年8月17日 1時) (レス) @page50 id: 797470a670 (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - なつきさん» ありがとうございます！次の作品もお楽しみに…！ (2022年8月16日 9時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
なつき(プロフ) - 素敵なストーリーをありがとうございました。新しい作品を楽しみにしています！ (2022年8月16日 1時) (レス) @page50 id: 292579ac7e (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - とんとんまるさん» 素敵なコメントありがとうございます！とっても嬉しいです。今後のお話もお楽しみに…！ (2022年8月13日 6時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わさび醤油
| 作成日時：2022年7月13日 2時
