怖いもの知らず(F.J) ページ15
藤原「今何て？」
思わず聞き返してしまった。
俺は今、相当間抜けな顔をしていると思う。
A「そんなん1回しか言わないですよ」
耳を疑うような言葉が脳内をぐるぐると巡る。
A「ちゃんと聞こえたくせに聞き返さんといてください」
藤原「いや…」
聞こえてはいた。
だけど聞き間違いかもしれない―
A「別に答えはいらないです」
微かに染まったAの頬。
そして脈打つ俺の鼓動。
A「…伝えたかっただけなんで」
その言葉によって聞き間違えてないことを悟る。
どうやら俺の耳は正しかったらしい。
Aは俺に"好き"と告げた。
藤原「…自分勝手やな」
A「恋愛ってそういうもんやと思いますよ」
恋心はいつだって独りよがり。
勝手に好きになって勝手に冷めたり諦めたり、の繰り返し。
いくつか年下であるはずのAが妙に大人びて見える。
昔から何かを悟ったような性格ではあったけど、こいつ人生何周目なんやろ。
藤原「もし…」
A「…はい」
藤原「もし俺がAのこと好きやったとしても答え要らん…ってことやんな？」
声が震えた。
A「"もし"って何ですか？」
藤原「え？」
A「そんな試すような質問、答えたくないです」
欲を言えば俺から伝えたかった。
だけどもう言われてしまったものは仕方がない。
俺は覚悟を決めて深く息を吸い込む。
仮に独りよがりだとしてもどれだけ自分勝手だとしても、
好きになってしまった事実を取り消すことはできない。
コントロールできない"本能"がAを好きだと叫んでいる。
今までずっと我慢してきた。
それがメンバーだからなのか何なのかは自分でもよく分からない。
殻を破って気持ちを言葉にしたAは、やはり俺なんかよりずっと大人だ。
藤原「…俺も」
これから2人で描いていく"幸せ"に飛び込む準備はできている。
藤原「…好きやで」
そっと目を逸らした。
直視していたら心臓が爆発してしまいそうで。
A「…ちゃんと目見て言ってください」
藤原「何やねん、」
A「私はちゃんと目見て言いましたよ？」
挑戦的な態度。
怖いもの知らずなとこは昔から変わらんなあ、なんて。
藤原「…好き」
真っ直ぐにその瞳を見据える。
A「…丈くんの」
藤原「ん？」
A「丈くんの彼女にしてください」
ああ、やっぱり好きやなあ。
重なった唇から果てしない愛を感じた。
Fin
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 373人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Aぇ!group」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
わさび醤油(プロフ) - kkさん» 最後まで楽しんで頂き、こちらこそありがとうございました！今後も読んで頂けるように頑張ります！ (2022年8月17日 16時) (
レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
kk(プロフ) - 紅一点設定の短編集ずーっと楽しく読ませて頂きました！たくさんの素晴らしいお話をありがとうございました😍また新しい作品も楽しみにしています💕 (2022年8月17日 1時) (レス) @page50 id: 797470a670 (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - なつきさん» ありがとうございます！次の作品もお楽しみに…！ (2022年8月16日 9時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
なつき(プロフ) - 素敵なストーリーをありがとうございました。新しい作品を楽しみにしています！ (2022年8月16日 1時) (レス) @page50 id: 292579ac7e (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - とんとんまるさん» 素敵なコメントありがとうございます！とっても嬉しいです。今後のお話もお楽しみに…！ (2022年8月13日 6時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：わさび醤油
| 作成日時：2022年7月13日 2時
