おやすみに込めた愛(S.M) ページ14
お人形さんがこちらを見ている。
―あかん、怖い、無理や。
くるりと体勢を変えてAちゃんの方を向いた。
佐野「やっぱ無理っすわ」
A「私も無理」
佐野「代わってくださいよ、場所」
A「絶対嫌」
心霊スポット1泊2日。
とんでもない企画の真っ只中。
ほんまに何かあったらどうするつもりなんやろ。
俺らこれでも一応アイドルやで？
A「はよ寝るで」
佐野「はーい…」
当初は1人で寝る予定だった。
そんな俺を見兼ねたAちゃんが自らこの部屋で寝ることを志願したものの、何だかんだで冷たい態度を取られている。
俺のこと心配してくれたんちゃうん？
なんて心の中で問いかけてみる。
当たり前に返事はないけれど、Aちゃんの背中を見ているだけで不思議と安心感が芽生えてきた。
佐野「良かったっすわ、Aちゃんがおってくれて」
A「急に何？」
佐野「…何となく今思ったんで言ってみました」
年齢も歴も違う。
Aちゃんは俺にとって憧れの人。
入所当時は怖くて仕方がなかったことを思い出す。
狂犬2号なんてあだ名も納得のレベル。
佐野「…寝ました？」
A「うん」
佐野「起きてるっすやん、」
A「何？しつこいねんけど」
好き―
なんて言えたらどれだけ楽だろうか。
佐野「…Aちゃん、俺のことどう思ってます？」
遠回しな言葉を投げかける。
A「…どうやろ」
佐野「え？」
A「最近自分でも分からへん」
ポツリと呟かれたその言葉に戸惑う。
表情が見えないせいで何を考えているのか分からない。
A「ずっとただの後輩やと思っててん」
佐野「…はい」
A「…でも私、晶哉のこと明らかに特別視してるな…って」
徐に手を伸ばした。
肩に触れ、いとも簡単に体がこちらを向く。
佐野「…ちゃんと言うてください」
A「何で私からやねん、」
佐野「俺が質問したんやから」
"ただの後輩"からの卒業。
くじで決まった罰ゲーム中にこんな嬉しい出来事があるなんて予想もしていなかった展開。
気付けば恐怖心は消え去っていた。
寝心地の悪さも落ち着かない気持ちも、全部Aちゃんが溶かしてくれて―
A「…好き」
ああ、やっとや。
やっと俺のものになったんや。
A「…はよ寝るで、おやすみ」
佐野「何照れてんすか、」
A「照れてへん」
佐野「…俺も大好きです、おやすみなさい」
Fin
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わさび醤油(プロフ) - kkさん» 最後まで楽しんで頂き、こちらこそありがとうございました！今後も読んで頂けるように頑張ります！ (2022年8月17日 16時) (
レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
kk(プロフ) - 紅一点設定の短編集ずーっと楽しく読ませて頂きました！たくさんの素晴らしいお話をありがとうございました😍また新しい作品も楽しみにしています💕 (2022年8月17日 1時) (レス) @page50 id: 797470a670 (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - なつきさん» ありがとうございます！次の作品もお楽しみに…！ (2022年8月16日 9時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
なつき(プロフ) - 素敵なストーリーをありがとうございました。新しい作品を楽しみにしています！ (2022年8月16日 1時) (レス) @page50 id: 292579ac7e (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - とんとんまるさん» 素敵なコメントありがとうございます！とっても嬉しいです。今後のお話もお楽しみに…！ (2022年8月13日 6時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わさび醤油
| 作成日時：2022年7月13日 2時
