宝石のような恋(O.K) ページ3
"思ってたんとちゃう"という理由で振られたのは約2週間前。
決してその言葉を引き摺ってはいない―
つもりだった。
A「そういえば彼女さんとどうなん？」
タイムリーな話題に対して戸惑うことしかできない自分に驚く。
同期のAは昔から性別の垣根を越えたような存在で、ある意味特殊な関係を築いてきた。
パーソナルな部分は互いに知り尽くしているし、恋愛事情や他の人には言いにくい話も打ち明けている。
A「惚気くらい聞いたってもええよ？」
ほんまは思いっきり惚気話するつもりやってんけどなあ。
俺の恋愛はいつも中途半端。
物語のような大失恋こそしたことないものの、イマイチ上手くいかないことばかり。
それは俺がアイドルだから？
―なんて考えた時期もあったけど、職種なんて言い訳にしかならない。
1人1人真っ直ぐに向き合ってきたつもりだった。
だけど心のどこかで何かが引っかかって、その正体が分からないことに混乱して。
いつだってそのせいで俺は中途半端な人間に成り下がる。
A「…はっすん？」
大橋「えっ？」
暫くボーっとしていたらしい俺を心配そうに見つめる瞳。
キラキラと輝くその目はまるで―
大橋「宝石…」
A「へ？」
ルビー？サファイア？クリスタル？
そんなものとは比べ物にならないくらい美しいそれに、何故今まで気が付かなかったんだろう。
いや、違う。
気付かないふりをし続けてきたのかもしれない。
大橋「…別れたで」
A「えっ…そうなん？…ごめん、」
大橋「何で謝るん？」
A「いや…」
気まずそうに目を逸らしたAが俯く。
大橋「そんなん気にするような仲ちゃうやろ？」
俺は明るく笑い飛ばしてみせた。
やっぱり俺らは最高の同期で、親友で仲間で家族。
この関係性は崩したくない。
この先何があっても。
A「まあ…そっかあ、言われてみればそやなあ」
大橋「そやろ？」
だから俺は気持ちに蓋をする。
気が付かなかったことにして、見て見ぬふりをし続ける。
次こそ思いっ切り惚気話を聞かせよう。
仮にその場限りの中途半端な恋愛だとしても。
宝石のような恋心は丁寧に大切に心の引き出しにしまい込んだ。
A「どうせまたすぐできるやろ、彼女」
大橋「…できるとええなあ、」
Fin
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わさび醤油(プロフ) - kkさん» 最後まで楽しんで頂き、こちらこそありがとうございました！今後も読んで頂けるように頑張ります！ (2022年8月17日 16時) (
レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
kk(プロフ) - 紅一点設定の短編集ずーっと楽しく読ませて頂きました！たくさんの素晴らしいお話をありがとうございました😍また新しい作品も楽しみにしています💕 (2022年8月17日 1時) (レス) @page50 id: 797470a670 (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - なつきさん» ありがとうございます！次の作品もお楽しみに…！ (2022年8月16日 9時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
なつき(プロフ) - 素敵なストーリーをありがとうございました。新しい作品を楽しみにしています！ (2022年8月16日 1時) (レス) @page50 id: 292579ac7e (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - とんとんまるさん» 素敵なコメントありがとうございます！とっても嬉しいです。今後のお話もお楽しみに…！ (2022年8月13日 6時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わさび醤油
| 作成日時：2022年7月13日 2時
