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Aは黙って俯いている。
誠也「…何？言えんような相手なん？」
さっきまで楽しかったはずなのに、一気に気まずい空気が流れる。
誠也「…借金とか？」
A「そんなんちゃう！」
誠也「やったら何？」
Aは少しだけ悩んだ後、諦めるように溜め息をついた。
A「…今お付き合いしてる人」
誠也「…えっ？」
運命？サプライズ？
俺の考えは全くもって的外れだった。
誠也「あ…彼氏…おったんや」
A「うん…一応。」
冷静に考えてみれば当たり前だ。
高校時代の恋愛なんて子供の戯れに過ぎない。
何年もの時が流れた今、Aに彼氏がいても旦那がいても不思議じゃない。
なのにどうしてだろう。
どうしてこんなにも苦しいんだろう。
俺はきっと、
Aのことがずっと心残りだったんだ。
Aよりも好きな人になんて出会えなかった。
ただの"思い出"として風化させることができなかった。
好きなんだ、Aのことが。
誠也「あー…そろそろ解散する？彼氏会いたがってるんちゃう？」
A「ううん、今日はええねん」
誠也「え？…でも電話が…」
こうしている間にもAのスマホからバイブレーションが鳴り続けている。
何故かAの表情は暗い。
誠也「俺とはまた別の日に会えばええし、今日はもう…」
A「ほんまにええねん、はよデザート頼も」
Aが俺の手からメニューを取り返した。
A「このムースとケーキで悩むな〜…」
何もなかったかのようにデザートを選び始めたA。
その時、あの出来事が脳裏にはっきりとフラッシュバックした。
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俺は中学生の頃に受けたオーディションに合格し、事務所に入所した。
つまりAと出会った高校生の頃には既にアイドルとしての活動を始めていた。
断トツ人気があるとか、爆発的に売れているとか、決してそういう訳ではなかった。
大勢いるJrのうちの1人で、仕事量もそれほど多くはなかった。
それでも周りは大手事務所に所属しているというだけで好き勝手持て囃す。
噂はあっという間に広まり、俺は"男"としてなのか"アイドル"としてなのか女子生徒からモテた。
Aはそんな俺を特別扱いすることなく、対等に接してくれた。
今思えばそんな所を好きになったのかもしれない。
だからこそ俺達が付き合っていることは誰にも話していなかった。
学校内ではあくまで友人を装い、放課後や休日を2人きりで過ごした。
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深澤りん(プロフ) - わさび醤油さん» レスありがとうございます！最後まで読みます！楽しみにしてます！ (2022年5月23日 20時) (
レス) id: 214e1122e7 (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - 深澤りんさん» コメントありがとうございます！是非最後まで読んでくださると幸いです。 (2022年5月23日 20時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
深澤りん(プロフ) - 丈くん推しです。切なそうだけど結末楽しみにしてます (2022年5月23日 19時) (レス) @page42 id: 214e1122e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わさび醤油
| 作成日時：2022年4月2日 16時
