Story76 ページ33
降谷 side
トリプルフェイスもやっていると、時々どれが自分が分からなくなり、どうしようも無い焦りと不安感に襲われる事がある。
例えば、"バーボン"として人を殺めてしまった時。
"安室透"として、ひたすら自分を偽り続ける時。
"降谷零"として、公安として働く時。
誰かに、強く責められたとき。
とある子の力を借りる為に、その子と親しい人物を罠に陥れた。
その時、こう言われた。
どうしてこんなことするんだ、と。
僕は警察だ。人の命と国を天秤にかけたなら、きっと国を選ぶだろう。
そんな僕でも、その正義に充ちた言葉は精神的にきた。
そして、久し振りに誰かに弱音を吐いた。
それも、自分の子供とそう年齢の変わらない子に。
引いただろうか、こんな大人が協力者で。
幻滅しただろうか、こんなに弱い大人で。
そう不安に思ったが、その子はそうは思っていなかった。
正義なんて人それぞれだ、と。十人十色だからこその世の中なのだと。そう言っていた。
その言葉には、妙な説得力があった。
その説得力に、僕は柄にも無く安心感を覚えてしまった。
「…ふ、くく、……はは、ははは!」
久し振りに、本当に久し振りに。
心から笑えた気がした。
『!?どないしたんですか降谷さん!??』
目の前では亜月がオロオロと僕を見詰めている。
その様子が更におかしくて、また笑ってしまう。
ーーああ、凄いな。この子は。
素直にそう思った。
いつの間にか心につっかえていた何かはサッパリ溶けて消え失せ、変わりにスッキリとした気分になってきた。
『いつまで笑ってるんすか、もう!!
え、えと…!とにかく、早くテロの犯人を突き止めに行きますよ!』
「…ふっ。ああ、分かっている」
ついにいい加減にしろとの苦情を受けたので、笑いを止める。
…そうだな、こんな事で止まっていられない。
僕にはまだ、やらなければならない事が残っている。
そう覚悟を新たにし、僕はボケットにしまって置いた携帯を取り出した。
ーー
これは余談ですが、次の続編くらいにはそろそろ完結させたいなと思ってます。
なのでそのうちまたまたアンケ取るかもです…((
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夜雨ナナト - 無理だったとかなら全然書かなくていいです。ログインできない私はお気に入り登録することができませんが応援しています! (2020年2月3日 1時) (レス) id: 2e33344876 (このIDを非表示/違反報告)
夜雨ナナト - リクですね!降谷さんの息子として外を歩いてるところを逆ナンされてしまい せらますみちゃん に助けてもらい、けれどあまりにも降谷さんに顔が似すぎていたのでうたがわれてしまう っていうのできませんか?私の低脳すぎる脳ではこれが限界だったぁぁぁぁぁ! (2020年2月3日 1時) (レス) id: 2e33344876 (このIDを非表示/違反報告)
夜雨ナナト - めっちゃ面白いです!前作から読みました。めっちゃ面白いです!←この作品が神すぎてこれしか出てきません。すみません。 (2020年2月3日 1時) (レス) id: 2e33344876 (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - 更新頑張ってください! (2019年11月9日 21時) (レス) id: 57d631d047 (このIDを非表示/違反報告)
加熱されたみかん - ほんっとに作者様の作品大好きです……更新頑張ってください! (2019年10月19日 17時) (レス) id: 9c8747fe33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:食物連鎖の頂点に立ったササミ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/1e4d26931d1/
作成日時:2019年8月14日 16時