心晒し ページ18
ーーー懐かしい夢を見ていた気がする。
レフは、霞む視界の中ぼんやりと目を泳がせた。
「ああ、起きたンだね？」
そこには、蝶の髪飾りを付けた女性が立っていた。
否、女性だけではない。
太宰以外の探偵社で見かけた社員達がいる。
自分が何をしていたのか、レフはぼんやりとした頭で思い出す。
血に濡れ倒れた太宰。そして、友の姿。
贈ったはずの白い、ウシャンカの帽子。
『…太宰君は！？』
「今太宰は別の病棟で治療中さ。アンタはその後ぶっ倒れたんだよ」
少し起き上がれば黒いソファに寝そべってしたせいか身体が堅い。
傍に置いてあったウシャンカを握り、レフは困惑した。
「原因は疲労とストレスだよ。昨日今日で、相当疲れが溜まってたんだろうね」
『…嗚呼、そうか。すまないね、迷惑をかけてしまって』
「気にすんじゃないよ。唯の疲労でなによりさ。
まあ、アンタ程の美丈夫を解体できないってのは残念なンだけどね」
『ん？』
何か、不穏なワードが聞こえた気がしたレフは一瞬瞬きするも気の所為だろうと判断した。
「大変です！ポートマフィアに建物を包囲されています！」
白髪の青年が冷や汗をかきながら慌てたように部屋に入ってくる。
ーーーポートマフィア？
こと平和に生きていれば早々耳にしない単語にレフは頭が痛くなる。
「もう嗅ぎつけたのか！」
「正門も裏門も固められています！」
「さすがに奇襲と殺しの本職だねぇ。こっちはどうする？
此奴もいる。強行突破は難しいよ」
慌ただしく飛び交う会話に付いていけないレフはキョロキョロと自信がどうすれば良いか分からず目を泳がせた。
「焦るな、国木田！それでも社長の弟子か！？」
混乱のさなか、凛とした声が部屋に木霊する。
「乱歩さん！大丈夫なのかい？」
「社長にしっかりしろって言われた」
その言葉に女性は目が覚めたのかと問うが、乱歩と呼ばれた男は否、と答える。
「でも、聞こえたんだ。
指示を出せ社長代理！必要な情報は僕が全て読み切ってやる！」
真っ直ぐ、澱みない澄んだ瞳だ。
その言葉に、周りの人間達が落ち着いた様な気がする。
「それと、そこの銀髪君」
『僕かい？』
「君は着いてくるんだ。フョードルと繋がりがあるんだろ？」
その言葉に周りが此方を一斉に見る。
「今の関係じゃダメだって分かってるんだろ、覚悟を決めたらどうだ」
『僕は…』
ーーーそんな事、分かっている
その言葉に、レフは苦しげに目を逸らした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 157人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なはて(プロフ) - ものすごい面白かったです!作者様の気が向いたらでも良いので､続きを書いてくれたら嬉しいです！ (2022年4月25日 7時) (
レス) @page22 id: 72c776ebcc (このIDを非表示/違反報告)
天人鳥(プロフ) - すんごい続きが気になります…。更新お願いします！ (2022年3月28日 19時) (レス) id: d581acac34 (このIDを非表示/違反報告)
塩じゃけ(プロフ) - この作品完結してしまったのでしょうか…？続きが気になります！ (2021年5月1日 12時) (レス) id: 5986ae6a0e (このIDを非表示/違反報告)
二酸化酸素(プロフ) - わたくしさん» それなです〜ほんと色とかもつけて欲しいです。絶対上手い (2021年3月27日 23時) (レス) id: f6be19e74d (このIDを非表示/違反報告)
わたくし - 絶対デジタルで絵描いたら上手いですよ！ (2021年2月7日 1時) (レス) id: 6ee51eba6b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ユウリ | 作成日時：2019年7月16日 23時
