永遠色グラフィティ

熱愛(4) ページ4

はぁ・・。


俺、こういうの嫌いなんだけどな。




種明かしするとこれは、


今回の雑誌の企画として手越に提案された、


たちの悪いドッキリだ。




恋人に悲しい思いをさせてまで


手越の企画に乗る必要があったのかって？


思うよね。


そりゃね。




「慶ちゃんに、


ほんとのほんとの素顔を見せてもらいたいんだ」って言われて。


いつも皆に気を配ってる慶ちゃんの素顔が見たい、とか言われて。



そんなの俺は


隣でいつも見てるし、


それよりも素の笑顔の方が良いって言ったんだけど。




「涙がいいの。


俺、泣き顔フェチ！」




いや、ドヤ顔で言われてもね。




「お前の好みなんてどうでもいい」


冷たく言い放つと、



「そんなこと言わないでさぁ〜。


ね、まっすーお願い！」




手越の可愛さにやられる俺ではもちろんない。


だけど。




最近急がしすぎる小山に


少しいじけ気味だった俺は、


最悪なことに


手越の企画に乗った。




「すぐ種明かしするからな」


「うん！


じゃあまっすー、これで隠し撮りしてよね」



笑顔の手越に渡されたのは


ペン型カメラ。




はぁ・・。


小山、ごめん、


マジで許して。




実行前に俺は


小山家に向かって手を合わせる。




どうか小山が、


怒って俺と別れるなんて言い出しませんように。




こんなことする俺を、


軽蔑しませんように。






ーーーーーーーーーー





よく晴れた日の午後。



二人でよく来る公園に小山の姿を見つけ


ドッキリを仕掛けたは良いけれど、


瞳から涙をこぼした小山を直視できなくて。



俺が辛くて。




「ごめん小山。


一枚だけ写真、撮らせて」



隠し持っていた隠し撮りペンを取り出し、


涙でぐしゃぐしゃな小山の顔を


持ち上げて撮影した。




「なに・・すんの・・」


鼻水もだらだら流す小山は、


正直言って、きれいとは言えない。




「写真・・」



「なんで泣いてんの」



「小山が、悲しそうだから・・」



「あなたのせいでしょ」



薄々わかってきたのか、


小山が涙と鼻水を、袖で拭った。




「まっすー、嘘ついてるでしょ」


まだ赤く腫らしたままの瞳。




「嘘・・？」



「目が泳いでる」



「うふふふふ」



思わず笑い出した俺を、


小山が両手でドンと突き飛ばした。




「ばかっ！


笑い事じゃないでしょっ！？」



「あいたたた・・・」


派手に後ろにすっころんだ。






(つづく)

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