あの頃僕らは走っていた(2) ページ2
「じゃあ…ほんとは何を言いたいわけ？」
走るのが遅いせいで、好きな人を失望させてる。
そのことが悲しくて、キツイことを口走っていた。
「シゲ、俺のこと嫌い？」
オレンジ色に染まる空を背に、手越はまっすぐ俺を見て言った。
「は？」
なんでそうなるんだよ。
「嫌いとか好きとかそういう問題じゃなくて、俺は走る練習より、早く家に帰って本を読みたいの。ただそれだけ。」
ほんとは好きって言えなくて苦しい。
小説の世界に逃げ込みたかった。
「俺…無理強いしてごめん。シゲの気持ちも考えないで。」
足元に伸びる手越の影が、ゆらゆら揺れてるように見えた。
「手越は悪くないよ。がっかりさせてごめんな。」
目を合わせられないまま背を向けると、
「がっかりって何？」
手越の声。
「がっかりなんてしてないけど、俺。」
そっか。
手越が勝ちたいのはいつも自分自身だ。
四人の記録が伸びなくたって、人のせいになんかしない。
そこが好きだ。
歩き出せなくなってしゃがみ込む。
あ〜…どこまでダサいんだ俺…。
頭をワシャワシャ掻きむしっていると、
「どうしたのっ？」
駆け寄ってくる手越の足音。
それさえも愛おしくなってきて、ヤバイな俺…。
「なんでもねえよ。もう帰れよ、お前…」
「なんで、なんでそんなに冷たいの？
いくら俺でもさ、心折れそうだよ…」
は？何でだよ。
顔を上げると目が合った。
「俺…シゲに早く走ってほしかったんじゃなくてさ、」
すっかり引いた汗で、いつもさらさらな手越の髪が乱れていた。
「シゲと一緒にいたかったんだよ、少しでも長く。」
「え…」
想像もしなかった言葉が、俺を包んだ。
「手越…」
「ほんとはただの俺の自己満。好きなの、シゲのこと。」
一人ですっきりしたような顔をして手越は立ち上がり、走っていった。
空には星が出始めている。
俺は何も言えず、一人その場に立ち尽くした。
(つづく)
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大福もちこ(プロフ) - ｸﾗﾊさん» おや、そうでしたか^_−☆笑 短編集だから内容は今と変わらないんですけどね。新・さくら並木〜でイイかな〜。考えるの楽しいですよね題名も☆ (2014年5月15日 23時) (
レス) id: 0618d2993c (このIDを非表示/違反報告)
大福もちこ(プロフ) - 美江にゃん□?さん» いいえ〜こちらこそリクありがとうございました♪楽しんで貰えたなら嬉しいです☆嬉しいな〜頑張りますよん！ (2014年5月15日 23時) (レス) id: 0618d2993c (このIDを非表示/違反報告)
ｸﾗﾊ(プロフ) - いや、ｸﾗﾊも本来そっち系…(笑)内容わかればﾀｲﾄﾙ考えてあげたいところだけど…ﾀｲﾄﾙは、ｸﾗﾊもｾﾝｽなし(;^_^A (2014年5月15日 22時) (レス) id: 3632dde973 (このIDを非表示/違反報告)
大福もちこ(プロフ) - ｸﾗﾊさん» あっクラハさん！読みに来て下さっていたのですね\(//∇//)\やたー！次の題名、悩み中です。女の子との恋愛よりこっちのが筆が進むのが悩みどす。爆 (2014年5月15日 22時) (レス) id: 0618d2993c (このIDを非表示/違反報告)
ｸﾗﾊ(プロフ) - ﾍﾞｽﾄｶｯﾌﾟﾙ最高(笑)いや、面白かった♪←実はちゃんと読みに来ていたｸﾗﾊでした (2014年5月15日 9時) (レス) id: 3632dde973 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Kim sora | 作成日時：2014年3月16日 22時
