START【歌い手】 (ページ19)

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天月＊離れても＊蒼ページ19

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　幼いころからずっと一緒。

　幼稚園、小学校、中学校、高校とずっと一緒の幼馴染とは離れたことなんてない。

　高校は偶然だったけど。

　でも、幼馴染にべったりの生活ももう終わり。

　大学は、私が地元を離れて関西の方の学校に行くことに決めたから初めて離れ離れ。

　「あー荷造り終わらない。」

　「ほら、頑張って。これは？」

　「それは持って行かない。」

　荷造りを手伝ってくれる幼馴染の天月にそれはいる、いらないと声をかけながら段ボールにひたすら詰めていく。

　元々片付けが好きじゃないのに、荷造りなんてきっと天月が来てくれなかったら、一生段ボールを組み立てただけで終わってた。

　「大阪かぁ。」

　「寂しい？」

　「それはAでしょ。」

　からかってみよう、そんな気持ちで聞けば本心を見透かされて言葉に詰まる。

　無言で見つめられてきて、そうだよ、と小さな声で認めてしまった。

　「寂しくなったら電話してきなよ。」

　「何、飛んできてくれるの。」

　「学生には無理。」

　往復代バカにならないんだから、と笑われる。そちゃそうだ。気軽に行き来できる距離じゃなくなっちゃうもんね。

　何かあったら、家に行ったり、もう出来ないんだもんね。

　「…なに、ブサイクな顔して。」

　「は？」

　「寂しくなったら、電話くらいいつでも出るから。」