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コンビニで冷やしたぬきうどんとパックの麦茶、牛メンチを買って、また同じルートで家に帰る。行きには誰も居なかった公園に、小学生くらいの子供が三人で遊んでいた。男の子が二人、女の子が一人。三人で鬼ごっこをしているようだ。
微笑ましいなと思いながら、自分も昔を思い出そうとする。僕はあまり友達がいなかったから、外で遊ぶことも無かった。もう10年以上前のことだ、正直あの頃の記憶は薄れてはっきりとは思い出せない。もしかしたら毎日のように遊んでいたかもしれない。

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「橋本君が有給取るのは初めてじゃない?」
「あはは……そうかもしれないですね」


有給前、最後の仕事の日。有給記念だーといって先輩に飲みに誘われた。確かに今まで有給は取ったことがない。大して予定も無かったからな、結婚もしていないし。先輩はこの間まで育休で会社に来ていなかった。今日から復帰だけど、入れ違いのように僕が有給を取ったから少しだけ寂しいらしい。
自分で言うのもなんだがこの先輩とはとても話が合う。好きな歌手も同じだから忘年会なんかでカラオケに行くと先輩と歌うことが多かったりするのだ。自分から歌う訳では無いが。ただ、僕が入社した頃はもう先輩は結婚していた。勿論恋愛なんて持ち込めない。その点は、良かったかもしれない。


「もぉー何で入れ違いになっちゃうんだろ。橋本君私のこと嫌いなんじゃなぁい?」
「まさか……先輩のこと尊敬してますし、嫌いなわけないじゃないですか」
「んー嬉しいなぁ」


既に先輩は酔っ払っている。顔も赤いし、呂律も回っていない。もう二時間経った、それに先輩の家族にも迷惑をかけるだろう。店員に水を頼んで、帰りたがらない先輩に上着を着せる。届いた水を先輩に飲ませてから、レジで全額払った。ふらふらする先輩を連れて僕の車に乗せて、先輩の家に向かった。
送り届けた後、全く反対方向の自分の家に向かう。明日は早めに家を出て、少し遠いショッピングモールにスーツケース等必要なものを買い込まなければ。もうすぐ旅行が始まることにワクワクしている、まるで小学校の遠足のように。大人になってからこんなにワクワクしたのはきっとこれが初めてだ。初めてづくしだな。
車から出ると空に明るい満月が浮かんでいることに気付いた。明日は晴れるといいな。

壱章「ガイドと路地裏」→←↓



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設定タグ:オリジナル , 旅行   
作品ジャンル:ホラー, オリジナル作品
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乳児(プロフ) - 唯苳さん» ありがとうございます!続き楽しみにしててください笑 頑張ります! (2018年4月2日 23時) (レス) id: fde8f5ea90 (このIDを非表示/違反報告)
唯苳 - 冒頭からおもしろくて、とっても引き込まれました!続き楽しみにしてますo((*^▽^*))o (2018年4月2日 21時) (レス) id: 8a6dabb221 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:乳児 x他1人 | 作成日時:2018年4月1日 21時

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