教師になったらヤンキー校配属になりました。

朝と誤解と他校生 ページ13

「…ん？何だっけ、これ。」


小さな手帳のような物には、金色の文字で『生徒手帳』と、書かれ…て…、

「あ、生徒手帳か」

「…昨日の奴らの手帳じゃん」
「っうお！」

びっくりしたー、いきなり声をかけられて変な声でちゃったじゃん…

「…うおっ、て…」
「人間、本気で驚いたら変な声が出るんだよ…！」

肩を揺らしながら笑う神威に、軽くパンチをいれながらも、生徒手帳を眺める。

「あっ！これ、銀魂高校のやつじゃん！」
「ん？言ってなかったっけ」
「言ってない」
「そう」

適当に話しつつもこのあとどうするかを考える。

銀魂高校や、うちの生徒に見つかったら私の教員免許が、消え失せるだろう。

「一緒に行くとバレるし、別々だと迷子確定だし…」
「…だったら…」

「え！なんかあるの！？」
「……いや、やっぱいいよ」
「そう？」
「………」

……まぁ、家から出てくるところを見られなければ、途中で会った、とでも言えばいい。

ようするに、見られなけれなきゃ良いんだよ、
見られなきゃ……

そう決心して神威を引っ張りながら玄関からでる。

「「…え」」

扉を開けた刹那、

茶色っぽい髪色の、ぼんやりとした感じで独特なアイマスクを着けた男子生徒と目が合った。

…お互い、目を見開いて固まった。

ーどう見ても、社会人な私と、背後には学ランの神威。

頭の中で、淫行条例やら何やらがグルグルと回りついには幻聴まで聞こえてくる始末。

扉を閉めることすら頭から消えた私の後ろから、いたって普通な声が聞こえてきた。

「…確かキミ、銀魂高校の風紀部だよね」
「…神威、お前ついに大人にまで手ぇ出してんのかよ」

…今、聞き捨てならない言葉が聞こえたような…？

「だってさ、センセー」
「はぁ！？先生！？」
「……」

三者三様とは、まさにこのことだろう。

一人は、この展開を楽しむように目を細め。

一人は、驚き声をあげる。

一人は、震えながらうつむいていた。

…もちろん、震えながらうつむいているのは私の事だ。

何で震えているかって？

ーーとうぜん…

「…なーに余計なこと言ってくれるのかな神威さーん？」

「わぁ、センセーこわーい。」
「私の教師生命、絶つ気かコノヤロー！」

怒りにまかせて殴りかかると、ひらりと避けられた。

が、そのまま足を払って一本背負いをし、地面に叩きつける。

「…いったー、センセー可愛い生徒を一本背負いって…」

「その先生を先生じゃなくそうとした人に言われたくないわ…」



ーーーーーー


…離れて歩けば良い事に気が付いたけど、面白いので放置する神威さん

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