プロローグ ページ1
「はぁ､やっと抜け出せた……」
思わず安堵のため息が出る｡
私は中学生だ｡「とあるところ」から抜け出して､今､近所の倉庫に逃げ込んだところである｡
「一体どこから抜け出したのか？」それは……
…………家だ！ ←
何故なら私は生まれつきある病気を患っており､とても病弱だった｡だから親に「家から出るな」と教えられて育った｡そのため､今まで一度も外に出たことが無かったのだ｡
だから､行きたいところとか､やりたいこととか､全部我慢して生きてきたのである｡
でも､その我慢も今日で限界だった｡
昨日､急に警察から電話がかかってきて､
「父と母が交通事故に遭った」と告げられた｡
その時私の脳は､「寂しい」とか「悲しい」ではなく､「嬉しい」という感情を生みだした｡
ちょっと頭がおかしかったのかな｡
だけど正直なところ､親が居なくなったことにより､「もしかしたら外に出られるかもしれない」と期待した自分がいたのは間違いない｡
……だから今こうして､実行に移した｡
でも､親が居ない＋まだ中学生＝結構､困る｡
「これから､どうすればいいんだろ……」
将来を愁い､思わず呟いてしまう｡
と､その時｡
なんか､此方に向かって人が歩いてくる｡
中学生くらいの､見知らぬ男の子と女の子だ｡
どうやら私のいる倉庫のほうに近づいてきているらしい｡
何を言われるのだろうと身構えて､体操座りの角度を急にして縮こまっていると､
倉庫のドアが､開いた｡
そして……
「キミ､こんなところでどうしたの？」
……転機がやってきた｡
続く
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作者名：成瀬音流 | 作成日時：2015年2月20日 17時
