無慈悲な神様 ページ10
.
―――まずい、直感的にそう思った
何がって聞かれたら明確には答えられないが、漠然と ” 駄目だ ” と思った、此の男の近くに居ると、自分の意思其の他諸々がガラガラと音を発てて崩れてしまいそうで・・・――
――・・・何もかも捨てて唯此の男の背中だけを追いかけていきそうな自分が居る事に、今気付かされたのだ
早い鼓動、鼓膜を直接揺らす心臓の音が
何よりの証拠・・・
(・・・・・駄目だ)
故に之以上は・・・――
ドンっと胸を押して距離をとる
『か、か____ 』
「か?」
『帰る!』
そして勢いよく地面を蹴って走り出した・・・――
.
・・・・・・走り出した、筈なんだけど
『何!離して貧弱野郎!』
「口の減らない子だねぇ」
――まあ、捕まった
がっしり掴まれ腕、――――じゃなくて、ガチャリと右腕に掛けられた手錠、そしてもう片方の輪は、
_____ガチャリ
(・・・・・――え)
ニコニコと、してやったりな笑顔で私を見下ろす太宰の左腕に掛けられた、――勿論太宰自らの手で
『何してんの!?ってかどっから持ってきた!?』
「一回使ってみたかったのだよ」
『其の好奇心に私を付き合わすな!』
本っ当突拍子もない!
私の逃げる手筈をいとも簡単に全て消し去った此の男には最早溜め息すら出ない、末恐ろしい男である
――さてどうしようかと次の算段を練り始めたところで、此の男は又とんでもない事を云い出した、其れはもう耳を疑う程には・・・
『・・・なんだって?』
「――君の帰る場所は、今日からうちだ」
『理解できない』
「そうだねぇ、後、五秒ぐらい、かな?」
『はい?』
ついに頭のネジが全部外れたか?と彼の脳内を不審に思っていると、「5、4・・・――」と、カウントを始めた
「――3、2、1」
_____prrrrrr
『え』
図ったようにタイミング善く鳴った私の携帯
そして目の前の男は「ほらね」とでも云いたそうな顔である、――嫌な予感が、現実味を帯びてくる・・・――
「出ないのかい?」
『・・・・・もしもし』
「――ご機嫌いかがかね?A君」
『最悪ですが』
着信の相手は首領、――森鴎外
そして次の瞬間、其の男に告げられた ” 任務 ” は、私を絶望の淵に突き落とすには充分だった
.
「――探偵社に潜入して動向調査をしてくれ給え」
神様よ、私に慈悲は無いのか・・・――
.
845人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ハウスダスト(プロフ) - 中也さん…。いいやつだなぁ…。 (2017年12月4日 21時) (レス) id: aedc87e387 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - 中也アアアアアア哀しい。 (2017年8月25日 23時) (レス) id: e1078df416 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - お疲れ様でした!とっても面白かったです! (2017年8月25日 23時) (レス) id: e1078df416 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - うわーん(涙) (2017年8月25日 23時) (レス) id: e1078df416 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - なんと!宣戦布告っていう言葉がそのまま出てきた! (2017年8月25日 22時) (レス) id: e1078df416 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:七森 | 作成日時:2017年8月15日 17時