胡散臭いプロ ページ9
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――と或る執務室
其の椅子に座って天井を仰ぐ
『組織を抜ける、かぁ』
” 人助けをしてみないかい? ”
散々、人の道理から逸脱しておいて、なーにが人助けだ。――羨ましいんだよ、畜生
何時だってそうだ、何時も何時も、太宰は私の一歩前を歩く、そんな彼奴の背中を、私は見てるだけ。決して追いつけない、其れなのに手を伸ばしてくるから、本当に嫌な奴だ
何を考えてるのか、全く読めない男である
――だからだ、読めないから、追いかける、読みたいから、追いつきたいと思う
『・・・・――ああ、腹立つ』
座る椅子を一蹴りして、机に突っ伏した
(彼奴も、よくこうして惰眠貪ってたな・・・)
「何やってンだ」
ビクッ
・・・・・気配、頼むよ
『―――中原』
「手前は暇あったら太宰の椅子に座ってンな」
『座り心地善いんだよ此の背もたれ』
「あっそ、手前の書類、溜まってんぞ」
『はぁー?』
暗殺者に書類仕事をやらせる組織が何処に有るっていうんだ、私はあくまで殺人代行人、構成員でも、ましてや幹部でもない
首領、――森鴎外直属の精鋭に過ぎない
謂わばバイトみたいなもんだ
此の組織に根深く関わってる訳じゃないし、此の組織もまた、私を執に束縛する権利は今の所持っていない、――そう、今の所は
「ボスが手前を幹部に推薦してる」
『なんで』
「判ってンだろ」
――判ってる、まあ、大体は
保険だろう、私を組織に縛り付けるための
” 人助けをしてみないかい? ”
『あ"あ”あ”!!!』
「ッ、ンだよ五月蝿ェな」
『ちょっと出てくる』
「おい手前!書類!!」
『今度するー』
「せめて明日にしろよ糞餓鬼!」
.
――明日は、雨かなぁ・・・・――雲に隠れて幾分か明るさに欠ける太陽を呆けっと眺める午後四時
「考え事があると空を眺める癖も
変わらないねぇ、―――A」
背後からの声に少々心臓を揺らして、直ぐ平常心
『大体の原因は毎回アンタだよ、――太宰』
「其れはー、悩ませて悪かったねぇ」
思ってもなさそうな謝罪である、ってか
『此処、マフィア本部ビルの真下なんだけど』
「君に会うためならどんな危険も惜しまないよ」
『胡散臭い』
「困った子だねぇ、生意気な口には__ 」
此処で言葉を区切った太宰を不思議に思い、振り返ると、グイッと顎を掴まれ「躾が必要かな?」と、妖艶な笑み
―――全く、人を動揺させるプロである
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ハウスダスト(プロフ) - 中也さん…。いいやつだなぁ…。 (2017年12月4日 21時) (レス) id: aedc87e387 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - 中也アアアアアア哀しい。 (2017年8月25日 23時) (レス) id: e1078df416 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - お疲れ様でした!とっても面白かったです! (2017年8月25日 23時) (レス) id: e1078df416 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - うわーん(涙) (2017年8月25日 23時) (レス) id: e1078df416 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - なんと!宣戦布告っていう言葉がそのまま出てきた! (2017年8月25日 22時) (レス) id: e1078df416 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:七森 | 作成日時:2017年8月15日 17時