明らかになる ページ38
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______ポートマフィア本部ビル
例の如く最上階執務室では、何時もの事乍ボスはエリス嬢にご執心の様子・・・・・――ではなく、お高そうな葡萄酒のボトルを開け、優雅に足を組んで其れを口にしている
――そして私も隣で、窓から差し込む晴天の眩しさに目を焼かれながら同じ其れを口にしている、――正直云って、全く味がしない
―――――どうしてこうなった
「矢張りロマネは実に美味だねぇ
そうは思わないかい?A君」
『そ、そうですねぇ・・・』
(すいません判りません・・・・)
・・・・――私は今朝、ボスに呼び出され、此の晴天とは真逆のどんよりした空気を醸し出し布団に包まっていたのだ
――そして太宰に部屋から放り出された。「包み隠さず森さんに全て話す迄帰ってきちゃ駄目」という鬼畜な捨て台詞と共にだ、無慈悲にも程がある、仮にも恋人だろうがあの木偶
心の中で悪態を吐いているとボスが口を開いた
――・・・グラスに葡萄酒を注ぎ足しながら
「――ヴォーヌ・ロマネはね、フランスきっての
高級ワインの産地で ” 神に愛される村 ” なんて
云われているのだよ、――実に素敵な村だねぇ」
『は、はぁ』
「―――君は、本当に愛されているよ」
と、ボトルを片手に云ったボス、――其れは葡萄酒に云っているのか、或いは私に云っているのか。どちらにせよ意図が読めない
「其れで、報告は?」
ギクリ
(矢っ張り、訊きますよね・・・・)
『・・・・えっと、探偵社の、入社試験を
パスしてしまいました・・・・・・――』
「ほお、其れで正式な社員になった、と?」
『不本意です』
「でも、結果的には私の指示に逆らったねぇ」
『そ、其れは・・・・・』
―――云い訳はしないのが得策か、にこやかなボスが逆に怖い。――・・・・でも、なんか其の表情は、「知っていた」とでも云いそうな、むしろ・・・・・
「――――よし、ではこうしよう」
考えるのを一旦止め、ゴクリ、息を飲んだ
如何な処罰か・・・・
「――君は罷免だ、A君」
『・・・・・・は?ひ、罷免、ですか?』
「不満かね?」
『いえ、ただ・・・・・、』
拍子抜け、此の言葉がしっくり来る、てっきりもっと恐ろしい事を云い渡されるのかと・・・・
「此の件で太宰君に敵わないのは
始めから、判っていたからねぇ」
『へ?』
「―――だから一つ、確約をしてくれるかな?」
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ハウスダスト(プロフ) - 中也さん…。いいやつだなぁ…。 (2017年12月4日 21時) (レス) id: aedc87e387 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - 中也アアアアアア哀しい。 (2017年8月25日 23時) (レス) id: e1078df416 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - お疲れ様でした!とっても面白かったです! (2017年8月25日 23時) (レス) id: e1078df416 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - うわーん(涙) (2017年8月25日 23時) (レス) id: e1078df416 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - なんと!宣戦布告っていう言葉がそのまま出てきた! (2017年8月25日 22時) (レス) id: e1078df416 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:七森 | 作成日時:2017年8月15日 17時