三つ目の選択肢 ページ34
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_____バタン・・・ガチャリ・・・
有無を云わさず私を例の資料室に押し込み、後手に鍵のツマミを回した太宰は、「さて」と云いながら距離を詰めてきた
あっという間に部屋の隅に追い込まれた私は、すっぽり其奴の影に収まってしまう。――窓から差し込む光を其のヒョロイ身体に遮られ、私の視界で光っているのは太宰の瞳のみ
――宛ら獲物を捕らえた獣の様です・・・
「―――A」
『・・・ハイ』
「どうしてほしい?」
『と、云いますと・・・?』
「君は無断外泊の罰を受けなきゃいけない」
『そ、其の心は?』
「いけない子にはお仕置きが必要だろう?」
必要ない!私は何も悪い事してない!横暴!莫迦!木偶の坊!―――って、悪態の行列は間一髪で飲み込んだ、今は大人しくしてるのが得策である
『エット、500円をお納めします』
「――あぁ、勘違いさせたね
選択肢を決めるのは私だよ」
(・・・・じゃあ何で聞いたよ)
「先ず一つ目、私と心中をする」
『お断りします』
「じゃあ二つ目、今直ぐ私の恋人になる」
『お断りします!』
「其れじゃあもう一つしかないね__ 」
――ゴクリ、唾を飲み込んだ時だった・・・
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_______バタンッ・・・ドンッッ・・・
「っ!?」
『えっ・・・・』
――男が一人、ドアを突き破って入ってきた
否、吹っ飛ばされてきた
其の男は太宰の直ぐ後ろに転がり、「うう」と唸っている。相当強く吹っ飛ばされたようで、足を押さえ蹲り震えだした
「たっ、助けてくれ!!」
「落ち着き給え、一体何が__ 」
ガクガクと全身を震わせ、目をかっ開いて助けを請う男、太宰が落ち着かせようと声を投げかけた時だ・・・・――男の背後で、何かが光って・・・・
(・・・・・あ、)
『―――危ないっ!!』
部屋の小窓から差し込む太陽の光に反射して光ったのは、―――サバイバルナイフだった
咄嗟の事で、入り口に立つ別の男、――ナイフを投げた其奴の顔は見えなかったが、ほぼ無意識で異能を発動、軽く太宰を押し退け、震える男の前に一瞬で移動した
「――――A!」
私の名を呼ぶ切羽詰まった太宰の声が聞こえたところで、ぎゅっと目を閉じた。――・・・・嗚呼、之、刺さったら絶対痛いわ、と、半ば呑気に考えながら
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―――でも、次に感じたのは予想していた痛みではなく、誰かに頭を撫でられる感覚だった
・・・・・・・・はい?
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ハウスダスト(プロフ) - 中也さん…。いいやつだなぁ…。 (2017年12月4日 21時) (レス) id: aedc87e387 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - 中也アアアアアア哀しい。 (2017年8月25日 23時) (レス) id: e1078df416 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - お疲れ様でした!とっても面白かったです! (2017年8月25日 23時) (レス) id: e1078df416 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - うわーん(涙) (2017年8月25日 23時) (レス) id: e1078df416 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - なんと!宣戦布告っていう言葉がそのまま出てきた! (2017年8月25日 22時) (レス) id: e1078df416 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:七森 | 作成日時:2017年8月15日 17時