無知の過ち ページ31
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「――で、本当はどうしたンだよ」
_____中原が車のエンジンをかけて数分
暫く他愛もない云い合いをして一区切りついた時に、核心ついて投げ掛けられた質問が之だ。――正直、驚いた
『何で?』
「見縊んなよ、何年手前を見てると思ってンだ」
『ほお?』
「・・・傘ぐらい、誰かしらに云えば用意すンだろ
態々俺を呼ぶまでも無ぇ筈だぜ、何があった」
太宰程じゃ無いけど、中々勘の働く奴だ
長年の付き合いで其れが判ったって云うのなら、本当によく見てくれているんだなぁ、と、少々感動
『別に、何も無いよ』
―――・・・・なら、此の嘘だって簡単に見抜けるんだろうし、――云いたくないっていう意思表示だって事も見抜ける筈だ
「・・・・あっそ」
『あああぁ、帰りたくない』
「何だよもう任務に根を上げてンのか」
『そう、四六時中太宰の相手は本当に疲れる』
「は?四六時中?」
(・・・・・あ、)
そういや云ってなかったっけ
『――同じ部屋なのあの莫迦と』
「・・・・・・はぁッ!?」
『ちょっ、前!前見て信号!!』
キキーっと急ブレーキで止まった車、あんまりにも驚いたのか完全に此方に視線を向けたので、危うく赤信号の交差点に突っ込むところだった、――そんなスリル要らないよ・・・
「聞いてねェ!!」
『そりゃ云ってないもんねぇ』
「云えよ糞餓鬼!!!」
『其の悪口今関係無い!』
数回キャッチボールして大きな溜め息を吐いた中原は「信じらんねぇ」と、数秒のクラクションと共にハンドルに項垂れた。――やかましい極まりない
「――気が変わった」
『何の?』
「帰さねぇ」
『へ?』
―――青信号、車は前進するかと思いきや、其の場でUターンして来た道を戻り始めた、――・・・・戻り始めた?
(・・・・・・・んん!?)
『ちょ、中原さん?』
「あ?」
『どちらへ?』
「俺ン家」
『あ、そお・・・・・じゃない!何で!?』
至極普通に云うもんだから其の儘納得しそうになったではないか、我に返って聞くと「帰りたくねぇンだろ」と、――いや、確かに云ったけども・・・・
『・・・・まあ、いっか』
「何食いてぇ?」
『肉』
「魚だったり肉だったり忙しい胃だな手前は」
『よし!今夜は肉と葡萄酒でパーティーだ!』
「はいはい」
___此の呑気な夜を、私は後に後悔する事になる
太宰治と云う男の本性を、私は未だ知らない____
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ハウスダスト(プロフ) - 中也さん…。いいやつだなぁ…。 (2017年12月4日 21時) (レス) id: aedc87e387 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - 中也アアアアアア哀しい。 (2017年8月25日 23時) (レス) id: e1078df416 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - お疲れ様でした!とっても面白かったです! (2017年8月25日 23時) (レス) id: e1078df416 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - うわーん(涙) (2017年8月25日 23時) (レス) id: e1078df416 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - なんと!宣戦布告っていう言葉がそのまま出てきた! (2017年8月25日 22時) (レス) id: e1078df416 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:七森 | 作成日時:2017年8月15日 17時