鈍感の訳 ページ26
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_____コツン・・・コツン・・・
事務所を出て階段を降りる、隣には中原
「――本当に大丈夫か」
と、先刻から之ばかりである
『あのさぁ、なんでそんなに心配?』
「・・・特に理由は無ぇよ」
(本当かよ・・・)
私は仮にもマフィアの一隅だ、之でも組織きっての殺人代行人だと、面識の無い構成員から恐れられるぐらいには腕は立つ
故に其処迄心配される筋合いは無い
『私の実力を信じ給えよ中原幹部』
「そう云う事じゃねぇ」
『じゃあ何なの』
「・・・太宰の木偶が居ンだろ」
――・・・うわぁ、こんな覇気の無い中原見た事無いんだけど、之じゃあ本当にケーキ屋営んでても可笑しくない勢いだ
『勧誘の話なら断ってるから大丈夫だよ』
「手前は本ッ当に空だな頭」
『はぁ?って、うわっ』
理不尽な暴言と共に頭を鷲掴み、其の儘ぐわんぐわん回されて平衡感覚を失った私は、――当然階段を踏み外した
(――あ、落ちる・・・・)
と、思ったら、支えられた
「――こういう危機も有るンだぜ」
『え・・・・』
思わぬ至近距離、見た目に反して逞ましい其の腕に支えられて、先刻の覇気の無さは何処へやら、――聞いた事の無い低い声で云われた
(――・・・・何だ?)
『あの、中原さん・・・・』
なんとなく、怖いから敬称を付けてみた
「一寸は意識しろって云ってンだよ鈍感」
『何を・・・?』
「だから、俺は・・・手前が___ 」
「ねぇ、君達」
―――珍しく、やけに神妙な空気を醸し出す中原の声に耳を傾けていると、階段の上から急に掛けられた別の声
反射的に中原から離れた
「そう云う事は他でやってよ、邪魔」
駄菓子を片手に数段上から私達を見下ろすのは
『――乱歩さん、すいません』
「君素敵な帽子だね、悪いけど
――Aは借りていくよ』
「はァ?」
『え、えっ、乱歩さん?』
邪魔、って云ったから端に避けたんだけど、何故か腕を掴まれ強制連行。――対する中原はポカン、だけど帽子を褒められたからか何も云って来ない模様
――単純な奴である
『き、気をつけて帰ってね中原』
「お、おう」
取り敢えず振り返って別れの挨拶はしといた
何か話の途中だったような・・・
まあ、其れより今は乱歩さんか
――果たして彼は何処へ行くのだろうか
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ハウスダスト(プロフ) - 中也さん…。いいやつだなぁ…。 (2017年12月4日 21時) (レス) id: aedc87e387 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - 中也アアアアアア哀しい。 (2017年8月25日 23時) (レス) id: e1078df416 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - お疲れ様でした!とっても面白かったです! (2017年8月25日 23時) (レス) id: e1078df416 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - うわーん(涙) (2017年8月25日 23時) (レス) id: e1078df416 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - なんと!宣戦布告っていう言葉がそのまま出てきた! (2017年8月25日 22時) (レス) id: e1078df416 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:七森 | 作成日時:2017年8月15日 17時