穏和な奇襲 ページ25
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『おはようございま__ 』
「やっっっと来たか小娘!!!」
と、私の挨拶を遮り怒声を浴びせてきたのは国木田独歩、――理想を追い求める現実主義者と昨日太宰から訊いた
朝一番、青筋を立てて小娘に叫び散らす程には、理想と現実から逸脱した事件が彼に降りかかったのだろう。――二日酔いには毒な音量である
『どうしましたか、国木田さん』
「どうしたもこうしたも有るか阿呆」
若干の暴言と共に彼が指差した先は、事務所隅に申し訳程度に設置された応接間、――其のパテーションからチラリ中を覗くと、
「うわぁ最悪」
――同じ様に私の隣で其処を覗き込んだ太宰が先に反応した。コンマ数秒遅れて私は、驚愕・・・・其処に居たのは・・・・――
『――・・・誰デスカ?』
「蹴り殺されてぇか糞餓鬼」
不機嫌剥き出しでソファに踏ん反り返る中原でした
「一人で探偵社を襲撃かい?中也」
「生憎だが手前にも探偵社にも用は無ぇよ」
「へーえ、じゃあ顔が見たくて?」
「ち、がッ、誰がこんな糞餓鬼の!!」
「あれぇ ” Aの ” なんて云ってないけど?」
「ッ、・・・ンの包帯の付属品が!!」
と、まあ見慣れた口喧嘩を、私は半ば呆れ気味で静かに眺めていた、――敵組織の社に一体何をしに来たんだ此の幹部は
――然し乍らこの状況は、まずい・・・
「おい小娘、奴とどういう__ 」
『兄です!』
「・・・・はぁ?」
(――・・・あ)
突拍子も無い事を云ってしまった
「兄貴の職業は知っているのか」
『え、っと・・・ケーキ屋さん・・・』
「・・・・」
『――・・・だったらいいなぁ、なんて』
ははは〜と、苦し紛れに誤魔化したら「そうか、なら知らない方が善いぞ」と、国木田さん。――嗚呼、心が痛む・・・ごめんなさい善い人よ・・・
そして許せ中原
『君は今日からケーキ屋さん設定になった』
「あ"ァ!?」
「じゃあ私はミルフィーユを一つ」
「手前は乗るな!」
『で、何、何しに来たのこんな所に』
「昨日の電話で居ても立っても__ 」
「違ェ!!」
――昨日の電話・・・あぁ、あれか
いや、其れだけで・・・?
「荷物、手前の」
『あ、あぁ、荷物』
「へぇ、荷物」
「チッ」
『――じゃない!其れなら連絡してよ!
こんな所まで来て!危ないでしょ!!』
「俺は息子か!」
『五月蝿い莫迦早く帰れ!』
「帰れ帰れー」
「手前は一々腹立つなァ太宰!」
嗚呼疲れる・・・
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ハウスダスト(プロフ) - 中也さん…。いいやつだなぁ…。 (2017年12月4日 21時) (レス) id: aedc87e387 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - 中也アアアアアア哀しい。 (2017年8月25日 23時) (レス) id: e1078df416 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - お疲れ様でした!とっても面白かったです! (2017年8月25日 23時) (レス) id: e1078df416 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - うわーん(涙) (2017年8月25日 23時) (レス) id: e1078df416 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - なんと!宣戦布告っていう言葉がそのまま出てきた! (2017年8月25日 22時) (レス) id: e1078df416 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:七森 | 作成日時:2017年8月15日 17時