言論の自由 ページ20
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「――A其れどうしたの?」
頭にハテナを沢山浮かべながら事務所の戸を開けると、帰り支度を済ませた太宰が私の手元を指差して云った
『乱歩さんに貰った』
「乱歩さん?」
『うん』
「乱歩さんが、駄菓子を?」
『そう』
未だ何故だか判らないまま、其奴の確認じみた質問に答えると「へぇ」と、太宰にしてはパッとしない返事が返ってきた
『何?』
「いいや?唯、あの乱歩さんが自分の駄菓子を
人にあげるなんて珍しいなぁって、思ってね」
『そうなの?慈悲って云ってたけど』
「慈悲、ねぇ」
ふむふむと、勝手に一人で解釈を進めた太宰は数秒後、「成る程ねぇ」と、此奴の中の物語は完結した模様。――出来れば其れ、教えていただけないだろうか
依然として減らない私の頭のハテナ
対する太宰はニコリ
「気に入ってもらえたようだね」
『・・・・・・はぁ?』
またよく判らん事を・・・――けどまあ、悪いようではないらしいから、いっか。一応、すっきり?
「さて、帰ろうか、A」
『もう?善いの?てか仕事した?』
「ははっ、善いのだよ仕事なんて!」
「善くないわ此の唐変木!!」
『あーあ』
激怒の国木田さんによってドカンと投げ飛ばされた太宰、――はっ、ざまぁ
「おい小娘」
(・・・・・小娘?)
『私?』
「そうだお前だ、今日は帰って善いぞ」
此の人、太宰と同期なら私とも一歳しか変わらない筈なんだけど、――小娘って・・・
心の中で不満をぼやいてると「初日だからな、明日から頼んだぞ」と、軽く激励の言葉を頂いた。――うん、間違いない、善い人だ
――とは云え、先に帰るにしても私は社員寮とやらの場所を知らない、いっそ中原の家に帰るか・・・・てか本来の帰る場所は其方だ、此れは若しや・・・
(・・・・・チャンスではないか?)
『じゃあ!お言葉に甘えて!お疲れさ__ 』
「A?」
『・・・・・』
――・・・・・太宰君、復活早くない?
「一体何処に帰るつもりだい?」
『エット・・・』
「君の帰る所は今日から私の部屋だろう?」
「其の件はすまんな、生憎部屋に空きが無くて
太宰は善いって云っていたが、厭なら云えよ」
『ぐにぎだざんんんんっ』
「誰だ其れは」
『私此奴の部屋い__ っんんん!!』
――厭です、そう云おうとしたのに即座に塞がれた口、云うまでも無く犯人は太宰である
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ハウスダスト(プロフ) - 中也さん…。いいやつだなぁ…。 (2017年12月4日 21時) (レス) id: aedc87e387 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - 中也アアアアアア哀しい。 (2017年8月25日 23時) (レス) id: e1078df416 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - お疲れ様でした!とっても面白かったです! (2017年8月25日 23時) (レス) id: e1078df416 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - うわーん(涙) (2017年8月25日 23時) (レス) id: e1078df416 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - なんと!宣戦布告っていう言葉がそのまま出てきた! (2017年8月25日 22時) (レス) id: e1078df416 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:七森 | 作成日時:2017年8月15日 17時