残念な倒置 ページ18
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――好機―――・・・・・
” 禍を転じて福と為す ”
_____「戦国策」にこんな諸説があった
暗がり、手探りで太宰の背中に手を回す。そして・・・・――カチャリ
「あら?」
数刻前スられた拳銃を構えた
『何時迄も持ってるからこうなる』
「参ったなぁ、中々出来る様になったねA」
当たり前だ、幾度となく此の男におちょくられ弄ばれ、お陰で対太宰策に関しては他の誰よりも頭がキレる様になった、――加えて四年で成長した頭脳と瞬発力
(――毎度やられっぱなしでたまるか)
「撃つのかい?暗闇の中左手で?照準ぶれない?」
一体何の心配をしているんだか「殺るなら一発で頼むよ」と、見当違いな願望を述べる太宰には最早溜め息も出ない、――私が、撃たないとでも思っているんだろうか
ニコり、口元に弧を描いて____
______パンッ
躊躇なく撃った
「え」
『残念、両利き』
________カラン
と、壊れた手錠の破片が床に落ちる音
夜を取り仕切るマフィアを舐めたらいけない、暗闇ぐらい少し目を凝らせば直ぐに慣れて昼間も同然だ、――元最年少幹部なら其れぐらい判るだろ
とはいえ、之は・・・――
「流石、ポートマフィアきっての暗殺者だね」
――ついに此の男から一本取ったと云っても善いのではなかろうか・・・?よくやった私!――此処迄の道のり、長かった・・・・うぅ・・・よく頑張ったなぁ私・・・
と、自分に賞賛し労っていると
「―――でも残念、」
『え・・・・うわっ!』
グイッと右腕が引かれる感覚、不可抗力で数歩前に出てあっさり太宰の間合いに入った、――あれ?手錠、壊さなかったっけ?
暗闇に慣れた目で見上げると、にっこり顔・・・・
(ま、まさか・・・・?)
恐る恐る自身の右手を持ち上げると、――もれなく太宰の左手もついてきた、之は・・・――
『・・・・包帯』
「詰めが甘い、って云うよりは_____
______詰める前が疎か?かなぁ」
――・・・さ、さっ、先に仕掛けられてたぁぁあ!!
「私から一本取れる日は、矢張り程遠いねぇ」
『っ・・・・』
「ふふ」
腹立たしい捨てセリフと共に私の前髪をさらりと撫で、色気だだ漏れで微笑むと、――シュルリ、包帯を解いて又鼻歌交じり、資料室を出て行った太宰
―――おい、戦国時代の戦略家、” 禍を転じて福と為す ” だと?・・・全くの嘘じゃないか!
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ハウスダスト(プロフ) - 中也さん…。いいやつだなぁ…。 (2017年12月4日 21時) (レス) id: aedc87e387 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - 中也アアアアアア哀しい。 (2017年8月25日 23時) (レス) id: e1078df416 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - お疲れ様でした!とっても面白かったです! (2017年8月25日 23時) (レス) id: e1078df416 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - うわーん(涙) (2017年8月25日 23時) (レス) id: e1078df416 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - なんと!宣戦布告っていう言葉がそのまま出てきた! (2017年8月25日 22時) (レス) id: e1078df416 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:七森 | 作成日時:2017年8月15日 17時