手汗 ページ14
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――今日こそ魚が食べられる
そんな単純な口車に乗せられ簡単に機嫌が戻った私は浮かれ気分、手の平で転がされている気がしなくもない、が、食べ物の誘惑は強し
さて、これから此処で動向調査をする訳だけど
(・・・・先ずは此の人の攻略からかな)
「――太宰、其の子誰?」
「あぁ乱歩さん、名探偵のお仕事お疲れ様です
新しい社員ですよ、まだ研修扱いですけどね」
武装探偵社の名探偵、――江戸川乱歩、果たして其の推理力、如何なものか・・・――
「うちに研修制度とかあるの?」
「今回限りの特例ですよ」
そう、私はまだ社員ではない、あくまで研修扱いだ、之もボスに云われてる事、――決して正式な社員になってはいけないよ。と
何故かは判らないが、まあ例の如くあの御人の命令は絶対だ、どうして殺人代行人が探偵社に潜入して研修をしているのか、いささか謎では有るが、仕方ない
―――と、此処で感じた鋭い視線
緑の瞳とパチリ、ぶつかった
「ふーん、特例ねぇ」
『・・・・・』
「まぁ其れなりの理由が有る様だから仕方ないね」
――驚いた
(まさか、此の数秒で気付いて・・・・?)
途端に早くなる鼓動、やっと引いた手汗が又吹き出す感覚、――正直、此処迄とは思ってなかった、上手く誤魔化せるだろうと高を括っていた自分が憎い
『っ・・・・だ、太宰?』
「――乱歩さん、あまり彼女を
勘繰らないでやってください」
「別に、太宰が責任者なら何も云わない
なんせ僕は、――面倒は御免だからね」
「知ってますよ、お任せください」
駄菓子を口に放り込みながら社長室に入っていく名探偵に、ニコニコ手を振る太宰の反対側の手は、しっかり私の右手を握っていた
「判りやすいねぇAは」
『・・・矢っ張り気付かれた、よね』
「確実にね」
『私、そんなに判りやすいかな』
潜入ぐらい、暗殺のために是迄何回もやってきたけど、失敗した事は一度も無い、――だから今回はまあ、割とショックだな
「――いいや?Aは充二分に優秀だよ
乱歩さんの視線に表情一つ変わらなかった」
『・・・云ってる事違うんだけど』
「私が云ってるのは、” こっち ” だ」
と、未だ握られた手を私の視界に入れた
(――・・・・手汗って云いたいのか此の男は)
『離せ!ってか外せ!』
「口の悪い子の云う事は聞きません〜」
嗚呼もう強情!!
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ハウスダスト(プロフ) - 中也さん…。いいやつだなぁ…。 (2017年12月4日 21時) (レス) id: aedc87e387 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - 中也アアアアアア哀しい。 (2017年8月25日 23時) (レス) id: e1078df416 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - お疲れ様でした!とっても面白かったです! (2017年8月25日 23時) (レス) id: e1078df416 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - うわーん(涙) (2017年8月25日 23時) (レス) id: e1078df416 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - なんと!宣戦布告っていう言葉がそのまま出てきた! (2017年8月25日 22時) (レス) id: e1078df416 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:七森 | 作成日時:2017年8月15日 17時