きっと、君と何度でも。【紫】

＊二十四話＊ ページ25

言葉が途切れると、顔を真っ赤にするA

信じられない…俺の事を好きだなんて。


俺のせいで記憶を失って
何もかも忘れて、辛くなったはず

それを知った上でも好きになってくれたなんて


嬉しい事この上ない。




『なーくん…離れていかないで…っ!!』


そう言うと同時に、Aの大きな瞳から雫がこぼれ落ちた

好きな子が…誰よりも好きな子が俺の為に泣いてくれている。


俺はAを包み込むようにして抱きしめた｡






「ごめん…俺、やっぱAの傍に居たい。それでAが辛くなるなら離れるけど…。
Aには、俺の傍で笑って居てほしいって思う」




気付いたら俺も涙を流していた

そんな俺を慰めるようにして、俺より泣いている筈のAが背中を優しく叩いてきた。


…嗚呼、懐かしい



ずっと続いて欲しかったこの光景
それが戻るかもしれないという微かな希望

そして、またAを苦しめてしまうかもしれないという不安


二つが複雑に絡み合っていく






『あのね、なーくん…お医者さんにいいよって言われたら…なーくんが良ければ、また付き合ってくれる…？』



Aは嗚咽を交わせながらも言う

…もう俺は我慢が出来ないかもしれない。





「うん、いいよ…っ。ずっと一緒にいよう？」




泣きながら交わした約束だった

この先何があっても、絶対に守ってみせるよ。

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