きっと、君と何度でも。【紫】

＊十二話＊ ページ13

Aside







お家に突然、さとみさんとジェルさんが遊びに来た


何も覚えてない私に失望しないで来てくれるなんて、いい人達なんだろうなぁ。




お見舞いをどうお出迎えしていいのかも分からず

とりあえず二人を部屋に入れて軽くお喋りしていた。








『あの…私、実を言うとまだなーくんのことよく分かってなくて。
お二人から見たなーくんはどんな人だか、教えてくれませんか？』





ジェルさんからさっき聞かれた質問・なーくんのことをどう思っているか。


答えはしたものの、私は記憶を無くしているから彼のことをあまり知らなかったんだよね。



この二人はなーくんと親しそうだし、今まで知らなかったなーくんのことを教えてくれそうだと思ったの。








「なーくんは…リーダーシップがあって仕事熱心な人かな」


「俺もさとちゃんと同意見やわ。なーくんはリスナーさ…っと、仕事でお世話になる人達のことをよく考えているって感じやな」




リスナーさ…？何か言いかけてたよね。

当のジェルさんはさとみさんと何やらこそこそ話をしている。



ていうか、なーくんってお仕事何してたんだっけ？


うーん…なーくんは余り自分の話をしてこなかったから聞き覚えがないよ。







『教えてくれてありがとうございます。ああそれと、なーくんってお仕事何されてるんですか？』




私が尋ねると二人の空気が凍ったように見えた。

あれ、私聞いちゃいけないこと聞いちゃったかな…？







「うーん…ちょっと説明するのは難しいかな。こっちも色々あってさ」


『そうですか…深くは聞かないでおきますね』





やっぱり教えてくれないか…。



なーくんは私のことをよく知ってるはずなのに

私はなーくんのこと、文字通りなんにも知らないな。







…何だろう、このモヤモヤする気持ち。


もっとなーくんのことを知りたいし、なーくんと話したい。




どうしよう

ミディアム好きなんだよね、なーくん。




この長い髪はちょっと邪魔だったし、ミディアムにしてみようかな？








喜んで貰えるといいな…そう考えると、モヤモヤした気持ちとは一転し



どんどん胸が高まっていくのを感じた。

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