5話 ページ7
〜sideA〜
ガヤガヤと賑わうパーティ会場の中からターゲットとなる人物を探し見つける
どこにでも居るような優男
偶然を装って近くを通るその時に微かに手がぶつかる
そう、ぶつかったように見せかけた
「あっ」
「おっと、すまないねお嬢さん・・・これは、君があまりにも綺麗で知らない間に見とれてしまっていたようだ」
ありきたりなくっさいセリフだなあ
血の匂い、広がる鉄の香りを、あたりには誰かも分からない死体の山を思い浮かべれば自然と頬が上がり気分が高揚していくのを感じる
「そんなに褒めてくれるだなんて・・・よっぽど言葉が上手なんですね」
クスクスと口に手をあて笑い名前すら忘れたターゲットの顔を見つめる
「あっ!いけないわ、それよりかどこも汚れたり怪我してないかしら・・・?」
心配するように彼へと近づく
簡単に釣られるコイツは私の肩を抱き寄せる
「僕は大丈夫さ・・・、それより一人かい?」
「ええ、友達と来るはずだったのだけれど・・・彼女ったら連絡もなしにすっぽかしたの
酷いと思わない?」
「おや、それは酷いな・・・だけどそんな君に会えた僕はラッキーだったからその子には感謝しないとかな?」
「ラッキー?」
「そうさ、もしその友人と一緒にいたら今こうしてる事もなかっただろう?
よかったら・・・少し場所を移さないかい?」
耳元で囁くコイツの喉を今すぐに切り裂いてやりたい
何をどうしたらどんな声で叫ぶのか、楽しい事だけを考える
この感覚は誰にだって共有はできないしさせるつもりもない私だけの感情だ
「あなたが良ければ・・・もちろん」
もたれ掛かるように歩き出す
帰ったら今日はチョコレートケーキを食べよう、苺ジャム入りのあまずっぱい美味しいケーキを
〜〜
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作者名:ねんねこ | 作成日時:2023年3月29日 15時