ゾル家の眠り姫2【イルミ】 (ページ24)

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「いやー、おわったおわった

さ、帰ろうかA」

天井から逆さにぶら下がるイルミ

『私のマリアが仕事をし損ねたじゃない』

自身の上に覆い被さるソレを床に転がしソファに腰掛け直す

飲んでいたカクテルをゆっくりと喉に流しこむと、グラスに残ったチェリーを口の中で転がす

それを見たイルミは小さく溜息をつくとAの隣に腰掛けた

「このままバーにでも行く？」

『うん』

Aの口の中からは、綺麗に結ばれたチェリーの茎部分

「ところでA、あのままオレが殺さなかったら初めてはあの女にあげてたわけ？」

・・・は？

彼は何を言っているのか

まさか彼はそれを気にして彼女に針を飛ばしたのか・・・

『そんなわけないでしょ

イル、怒りそうだもん』

それを聞いた片割れは、ピタッと動きを止めた

『イル？何どうしたの』

彼はクルリとこちらを向いたかと思えば、力強く抱きしめた

「当たり前だろ

Aの初めてはみんなオレのだから

キスもそうだっただろ

当然その先もオレが貰うから」

時が止まったかのようだった

彼と私は、一線を超えたことは無い

この先も、そうなのだと思っていたが

彼はそうは思っていなかったようだ

彼のその宣言は、私と身体を重ねると、そう言ったのだから

急に顔が熱くなった

『バカ//』

「ん？どうしたのA

依頼達成したんだから、報告して早いとこ帰るよ」

彼の手を取り、ロッカールームの着替えを手に取るとその足で行きつけのバーへと足を運ばせた

私をエスコートするように腕を組んで隣を歩く彼は、いつもの通り無表情に見えるが

どことなく機嫌が良さそうで

頭の上からは音符が飛び交ってみえた

「何？」

『嬉しそうだったから』

どうやら見つめすぎたようだ

「まあね」

はぐらかしたりしないあたり、本当に上機嫌のようだ

今日は彼が奢ってくれそうだ

『お腹空いた』

「じゃ、何か軽く食べる？」

『バーで軽食も頼もう

イルも食べるでしょ』

道中、父シルバに依頼達成の報告をし、上機嫌のイルミと2人、食事を済ませた

「Aの初めてはみんなオレのだから

キスもそうだっただろ

当然その先もオレが貰うから」

その言葉が、頭から抜けないまま・・・