ゾル家の眠り姫2【イルミ】 (ページ23)

今日:2 hit、昨日:10 hit、合計:21,404 hit

73 ページ23

気が付かなかったが、天井には何やら小さな穴が数箇所開いているようだ

原因は、私の片割れだろう

先程からトントンとどこかから音がしている気がするのも、きっと彼だ

「まだ終わらないの？」と急かしているのだろう

そんなにすぐ終わる依頼なら潜入なんてしない

しかしプライベートルームにさえ連れ込まれてしまえばこちらのもの

「ここのルールはご存知？」

『ええ、ある程度は・・・

しかし、直接ご教授願えませんか？シャロン様』

少し上目遣いにおねだりしてみれば、シャロンの顔にふふっと笑みがこぼれる

ーーートントントントントントン

どこからともなくきこえる小さな音

なにかイルミに気に入らないことでもあったのだろうか

「身の程知らずな美少女は嫌いではないわ」

『まあ、お褒めの言葉

嬉しいですわ』

嬉しそうな笑顔のAは差し出されたシャロンの手を取り、近くのソファへと移動した

そこからはお酒を含みながらサロンのルールの他に、政治の話やこれからの商業の話で大いに盛り上がった

「貴女、意外と話せるじゃないの

身の程知らずなだけではなかったわけね」

そう言う彼女は心底楽しそうな笑みを浮かべている

「よく見れば、よく手入れされた美しい髪をしているわ」

『シャロン様は褒め上手でいらっしゃいますのね

髪は女の命ですもの、大切にしております

この髪は、色もストレートも母譲りなんです

感謝してますわ』

愛おしそうに自身の髪を撫でるAの指に、シャロンの指が絡む

「私も、その髪に触れていいかしら

貴女の美しい髪にも肌にも興味があるわ」

シャロンの手が、Aの脚にそっと伸びる

『シャロン様・・・//』

「ここから先は、ここでは出来ないわ

さ、行きましょう」

今日のために、シャロンの好みそうな政治の話やら財政の話も頭に叩き込んだのだ

そうでなくては困る

プライベートルーム

そこには大きなソファベッドがあった

ここから先は・・・そういうことだ

使用人や付き人すら入れないこの部屋

『シャロン様・・・その、

・・・私、初めてなんですの』

扉には鍵がかかり、ソファベッドにゆっくりと腰をかければギシッと音が鳴る

「私は構わないわよ」

『恥ずかしいですわ、シャロン様//』

彼女の唇が、Aの唇に触れるか、触れないかのところで

パタリと、シャロンは力なくAの上に倒れた

その後頭部には、数本の針が刺さっていた