ゾル家の眠り姫2【イルミ】 (ページ13)

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翌日、イルミの仕事について行く私

しかし私は何をするでもなく、ただ彼の傍らでその手際の良さを眺めているだけ

『流石ね』

小さな声で呟けば、ギョッとした顔でこちらを振り向く

「え、何」

逆に、何なのか

普段から私が褒めていないような反応をしてくれたが、多分そんなことは無いはずだ

『手際がとてもいいなと褒めただけ

母さんも言ってた

父さんよりも営業実績が上だって』

彼はフットワークも軽いし、面倒に思わない自身への依頼なら基本全て請け負う

「仕事だからね」そう言って

「え、そうなの？そんなつもり無かったんだけどな」

私とそんな会話をしながらでも的確に針を投げる彼はやはりすごいと思う

誰一人として私とイルミに近づくことは出来ない

声を上げることさえも許されていない

暗闇の中、まともに瞬きもせず現れる刺客に針を投げていく

それでも虫のように湧き続けるのだ

一体ひとつの屋敷にどれほどの人間を雇っているのだろうか

ターゲットはまだ、現れていない

『ターゲットの居場所、きいてあげようか？』

ズズズ・・・と赤いベールのマリアを出すと

「え？

うーん・・・まあ大体1番上か地下室だろ？

このまま行くよ

Aのオーラを無駄にすることはない」

折角出したマリアも、使い道がないなら引っ込めざるを得ない

昔はお互いに背中を護りあって仕事をこなしていたが、さすがに9年

ただ護られているだけのような気もする

余程のことがない限り、彼が怪我をすることは無いだろう

つまり、彼の仕事に着いてきたところで私は今のように話し相手になるだけだ

片割れの仕事を監視しているような気分になる

それは彼にとってはどうなのか

最上階、そこからは戦闘要因ではなくメイドや執事といった側近がメインとなっていた

『上で合ってたみたいだね』

順番に扉を開けて確認をしていく

「なんだ、ノックもせずに入るなど・・・」

ドアの前に倒れていたメイドの腕がチラリとその男の目に入った

｢・・・おい貴様！！」

「あ。見つけた」

スパパパン！とすごい音を立てて彼の針が脳天に刺さった

『これで終わり？』

「うん、帰るよ」

一言、呆気なかった

それに尽きる

・・・しかし、やはりあれだけ人を殺しておきながら一滴も返り血を浴びず、涼しい顔で仕事をする彼は

『格好いいのよね』

「何してるのA、早く入るよ」

『うん、着替え持って来る』