ダイスキナヒト (ページ50)

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「悪ぃ！予想以上に遅れた！！」

昼休憩に入った頃、やっとヤマが来た

「ねえザキ聞いてよん！花宮がさぁ…」
「あー…ネックレスの意味知らねえんだろ？」
「嘘ん！？なんで分かったの？！」
「あれA先輩に頼まれて一緒に見に行った」

…ちょっと待て。今衝撃の言葉聞いたんだけど？
一緒に見に行った？

「ちゃんと分かってやれよ。A先輩すげえ悩んでたから」
「…んな事言ったって分かんねえし」
「俺が教えてやる。それの意味は…」

＿首輪だ＿

彼奴が初めて俺に見せた独占欲
周りの景色が俺を置いて行くような…早い心臓の音だけが聞こえる

なんなんだよ、ほんとに。最近なんでそんなにおかしいんだよ
異常な程俺に優しいじゃねえか…

ソファに深く沈んで眠るAに抱き着いた

『……まこ何してんの…？……なんで涙目…』

指が髪の間を通り抜けていく
泣き付くと同時に携帯の着信音

『…っと…電話…もしもし…』

背中を撫でられながら微かに聞こえる相手の話に耳を澄ました

「…やで……とるな………咲貴も……んやで…」
『…要は今吉が来るまで行くなって事でしょ』
「そうや！！」
『いきなり大きい声で喋らないで。耳痛い。じゃあ後で』
「ちょお待って！？まだっ」
『はいさよならー』

電話を切った後じっと画面を眺めて溜息をつく
俺をきつくきつく抱き締めた
彼奴の心音はいつもより少し早くて少し震えていた

それは何か悪い事が起こるから俺を求めているようで…
離したくないと言っているような気がして。

……まさかほんとに悪い事が起きるだなんて思ってなかった