ダイスキナヒト (ページ17)

今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:78,339 hit

＊16＊ページ17

寝る前、Aの部屋に顔を出すと入り口に山の様な段ボールが積まれていた

昨日までこんなもん無かったのに…

淡々と荷解きしては資料の中身を確認しノートに書き込んでいる
邪魔しちゃいけないと思い部屋から出ようとすると物音を立ててしまう

『まこ？』
「悪い、邪魔した。すぐ部屋戻る」
『寧ろ居て。もう頭可笑しくなりそう』

荷物をかき分けてベッドに座る
毛布を頭から掛けられむにっと頬を抓られる

「ちょっと待て地味に痛ぇ」
『遠慮しないで入ってきていいって。なんで遠慮してるの』

些細な言葉がこれ以上無い優しさに溢れた言葉に聞こえた

こんなにAに惚れ込んでる俺は末期じゃねえか
可笑しい自覚もあんのに…ただでさえ自分を抑えられる理性も無い

「バァカ……これ以上俺を虜にさせんな」

真っ赤になって呟いた今言える精一杯の言の葉
顔の前で交差させた腕を簡単に解かれて額に当たる唇

こんなの狡い。いつも俺ばっかりが余裕ないみてぇじゃん
流石今吉さんを負かすだけの頭の持ち主だな…俺は絶対に敵わねえってか

「A、好き、好き好き好き…！」

理性を破壊して出てくる愛情で窒息させる事が可能なら俺でも勝てるのに

『私も好きだよ』

それを受け取るAの器が大きすぎて。

…だからこそ俺が愛しいと思える唯一の相手なのかもしれねえな