七十四寮 ページ27
エリスside
トントンっ
ﾘﾄﾞ「……窓を誰かがノックしている？」
「わ、出てきた」
「なーなー。一緒にあーそーぼ！」
聞こえてきたのは男の子二人の声だった。
誰だろう……？
ﾘﾄﾞ「キミ達は誰？」
「俺チェーニャ！こっちはトレイ。一緒にクロッケーしようよ」
ﾘﾄﾞ「え……無理だよ。今は自習時間なんだ。勉強しなきゃ」
「自習って、なにを勉強するかは自分で決めていいがね。遊ぶのも勉強ってじーちゃんが言ってたにゃあ」
「少しだけ、降りてこない？」
ﾘﾄﾞ「……ちょ、ちょっとだけなら」
「君の名前、聞いていい？」
ﾘﾄﾞ「リ、リドル。リドル・ローズハート」
ﾘﾄﾞ「トレイとチェーニャと遊ぶのは
すごく楽しかった。
知らないこと、やったことない遊び
たくさん教えてくれた。
それから一日一時間だけの自習時間は、
毎日お母様に内緒で、
部屋を抜け出した」
そしてまた場面が変わる
「えっ！リドルってイチゴのタルト食べたことにゃーの？」
ﾘﾄﾞ「うん。お母様が身体に毒だからだめだって」
「そりゃ食べ過ぎはよくないかもしれないけど……。
あのさ、俺んちケーキ屋なんだ。今から食べに来いよ」
ﾘﾄﾞ「えっ……でも」
「一切れくらい、大丈夫だって」
･
ﾘﾄﾞ「真っ白なお皿に乗った真っ赤な苺のタルト。
ボクにとってどんな宝石より
キラキラ輝いて見えた。
一口食べたタルトは、すごく甘くて
食べたことないくらい美味しくて……
ボクは一口ずつ
味わいながら
夢中になって食べた。
__時間を忘れて」
イチゴのタルトなんて食べたことないな…。
見てるだけで胃もたれする…。
少しすると場面が変わった。
「なんてこと！自習をサボッただけでなく、外で砂糖の塊を食べてくるなんて！
あの二人がリドルを唆したのね。あんな悪い子たちと、二度と一緒に遊ぶことは許しません！」
ﾘﾄﾞ「ごめんなさい、お母様……
もうしないから許して……！」
「お黙り！お前がルールを破るからいけないのよ。
ああ、やっぱり自由時間なんて持たせるんじゃなかった。もっともっと完璧管理しなくては……」
･
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作者名：正岡蘭華 | 作成日時：2020年6月27日 15時
