【バチカン奇跡調査官】〈熾天の預言者と天彩の祓魔師〉 (ページ16)

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第二章《Ⅵ》ページ16

side:not
　
「なあ、A知らないか」
切羽詰まったエドワルドの声にロベルトと平賀は顔を見合わせた。
「……部屋からいなくなったんだ。どうしよう、アイツ、閉所暗所恐怖症なのに」
その言葉に平賀は眉を潜めた。
「そうなのですか」
「……ガキの頃に悪魔の儀式に巻き込まれて以来、閉じた空間や暗い場所にパニック症状を起こすようになった。……中で要するに体への虐待をされたり、暴力を振るわれたりしたのが良くなかったみたいでな」
その時だった。
「……楽園の落とし子は汚される」
通りががったエキドナがそう呟いた。エドワルドはその言葉に首をかしげる、が、しかし。響き渡った発砲音にエドワルドが目を見開き駆け出した。人だかりの出来ていた食糧庫の戸を抉じ開けてエドワルドは中に飛び込んだ。
　
赤い血液が床を汚す。銃口はエドワルドをしっかりと捉えていた。美しいその四肢は無数の手によって汚されている。
「A、俺だ」
「ごめんなさいさんたまりあ、おゆるしください、わたしのつみを、ちせつなつみを、おあばきください。さんたまりあ、わたしをおまもりください……さんたまりあ」
虚空を見つめたままAはただひたすらに祈りを捧げていた。

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