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私は扉を後ろ手で勢いよく閉めた。
父親の顔が瞼に張り付いて、呼吸が荒くなる。
『はっ、ぁ、は…、』
「____A…？」
唐突に名前を呼ばれ、階段の方に目を向けるとそこにはセオドールが立っていた。彼は私に気がつくと焦ったようにこちらへ近づいた。
心配して、7階で待っていてくれたのだろうか。でも、今はどうか近づかないで欲しい。貴方を、怖がりたくない。
せめて視界に入れないようにと、目をぎゅっと瞑る。
「大丈夫か？」
「ゆっくりでいい。とりあえず吸え。倒れても、おぶらないからな」
何それ、と抗議したくなる気持ちを抑えて彼の言葉に従う。でも何故だろう、今のでリラックスしたからか、呼吸がさっきよりもしやすい。震えも何とか収まってきた。
『… はあ、はあ。流石におぶってよ。』
「どうしてもって言うならいいけど、お前、触られるの嫌いだろ。」
セオドールは私を見下ろして、当然のように言った。私はつい、口から驚きの声が漏れてしまっていた。
『な、なんで知っているの。』
「別に、見てればわかる。俺も女に触られるの嫌いだしな。」
『…はは、そっか。一応内緒にしてくれる？』
言う必要ないだろ、と私に言いながらセオドールは少しだけ笑う。
「何かあったのか？」
『そうだね。でも、何も聞かないで。』
私がそう答えると、彼はそうか、と小さく零した。彼はそれ以上踏み込もうとはしなかった。私がハーマイオニーと話すことについても彼は見守ってくれた。こういった所は彼の美徳だ、本当に有難い。
『待っててくれたの？』
「別に暇だったから、たまたまだ。」
『ごめんね、ありがとう。…帰ろうか。』
私は階段を降りる最中、ふと以前の夢のことを思い出した。
彼が幼少期、私と同様に会食パーティへ出席していた時の夢だ。
『ねぇ、セオドール。そういえば、あなたの夢を見たの。』
先程の夢の経緯を話すと、ああと彼は遠い目をした。
「親に、強制的にな。」
『そっか。セオドール、私と同じ顔してたわ。もうほっといて、って、うんざりした顔。』
階段の踊り場からこちらを見るセオドールはふ、と笑みを零す。
「俺はお前程じゃないと思うけどな。」
『同じよ。うんざりしていたもの同士で抜け出せばよかったわ、きっと仲良くなれたもの。』
私はセオドールがいる踊り場へ追い付き、隣の彼を笑って見やる。
セオドールはどうかな、と私に笑った。
人気のない階段に2つの楽しそうな足音が響いた。
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マニ。(プロフ) - 猫田さん» ✉️。わかりました！これからも更新応援してます！ (1月5日 15時) (
レス) id: b32654e3a5 (このIDを非表示/違反報告)
猫田(プロフ) - マニ。さん» ありがとうございます！お気持ちは大変嬉しいのですが、今はこちらの作品の更新に集中したいと思っているので失礼ながら遠慮させて頂きます;; ですが、お話したいと思って下さって凄く嬉しかったです！ありがとうございます (1月5日 15時) (レス) id: 922d1d8c49 (このIDを非表示/違反報告)
猫田(プロフ) - もちもちさん» ありがとうございます！亀更新ですが、よろしくお願いします (1月3日 4時) (レス) id: 922d1d8c49 (このIDを非表示/違反報告)
もちもち - とっても面白いです！作者様のペースで更新頑張ってくださいね！ (9月18日 15時) (レス) id: c72e216da9 (このIDを非表示/違反報告)
猫田(プロフ) - 箱さん» こちらこそ、読んで頂けて嬉しいです！ありがとうございます (2023年2月25日 14時) (レス) id: 922d1d8c49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：猫田 | 作成日時：2023年2月9日 21時
