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『… …』
「… 今日は指導日では無いはずだが？」
片眉を上げたスネイプ教授を無視して、私は勝手に丸椅子に座った。教授は私を奇妙なものでも見るような目で見た後に、杖を振って紅茶を用意したが、私はただ俯いていた。
紅茶から漂う湯気が上へ上へと運ばれていく。その漂う湯気の量が少なくなった頃、私はちらりと教授に目をやった。彼は私を気にもとめずに、書類に目を向けていた。
その過干渉しない態度が心地よくて私は紅茶を口に運んだ。
そして、リラックスしたからなのか口から言葉が独りでに飛び出した。
『人と違うことがこんなにストレスになったこと初めてです。内輪の絆が強いスリザリンだから、尚更…』
教授は書類に滑らせていたペンを一瞬ピタリと止めたが、すぐに再開させた。
「瑣末事だな」
予想通りの冷たい感想に私は苦笑した。だけれども、教授は言葉を続けた。
「人との違いは個性だ。それを何故気苦労に感じる必要が？」
スネイプ教授は書類から目を離さないままそう言った。もしかして、慰めている？…いや、それは考えすぎか。
でも、なんとなくなんでも話せてしまうような雰囲気を持つ彼に寄りかかりたくなり、私は言葉を返した。
『少しだけ、悩み相談してもいいですか？』
「好きにしろ」
ぶっきらぼうに言う蝙蝠に少し笑いながら、私は先程のことについて振り返った。
『ドラコが、ハーマイオニーたちと揉めていて。言ったんです、彼女に″穢れた血め″と』
私は教授の様子を伺うようにもう一度彼を見直した。そして少し驚いた。他の生徒では気づかないくらい小さな変化だが、彼の纏う雰囲気が、ガラリと一変していた。
悲しくて消えてしまいそうな、でも、怒っているようなそんな空気。
私は不思議に思いながらもそれに気づかないふりをして言葉を続けた。
『それで、スリザリン生もドラコも笑っていました。私は…笑えませんでした、自分の友人がそんな事を言ったのが悲しくて。』
教授の纏う空気は変わらない。私は心配になり、虚ろな目をする教授に近づいた。
『教授？』
私がそう呼びかけても彼は答えなかった。目はいつもよりくすんで見えて、私は無理やり肩を掴んで自分の顔へ向かせた。
『教授！』
私が強く呼びかけて肩を揺するとやっと教授と目が合った。その後少し目を伏せた教授は私に帰れ、と一言告げた。私は逆らわず、薬学教室の扉をぱたりと閉めた。
何となく、彼の深淵に触れてしまったのだと、そう思った。
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マニ。(プロフ) - 猫田さん» ✉️。わかりました！これからも更新応援してます！ (1月5日 15時) (
レス) id: b32654e3a5 (このIDを非表示/違反報告)
猫田(プロフ) - マニ。さん» ありがとうございます！お気持ちは大変嬉しいのですが、今はこちらの作品の更新に集中したいと思っているので失礼ながら遠慮させて頂きます;; ですが、お話したいと思って下さって凄く嬉しかったです！ありがとうございます (1月5日 15時) (レス) id: 922d1d8c49 (このIDを非表示/違反報告)
猫田(プロフ) - もちもちさん» ありがとうございます！亀更新ですが、よろしくお願いします (1月3日 4時) (レス) id: 922d1d8c49 (このIDを非表示/違反報告)
もちもち - とっても面白いです！作者様のペースで更新頑張ってくださいね！ (9月18日 15時) (レス) id: c72e216da9 (このIDを非表示/違反報告)
猫田(プロフ) - 箱さん» こちらこそ、読んで頂けて嬉しいです！ありがとうございます (2023年2月25日 14時) (レス) id: 922d1d8c49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：猫田 | 作成日時：2023年2月9日 21時
