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リスタート ページ49

それから直ぐ私は退院して、何時かと同じように中也の車に乗って家に帰った。
家。もちろん中也の。

中也は何時にも増して優しく、そして少し過保護になった。
何をするにも手を貸してくれるし、頭を撫でたり肩を抱き寄せられたりと触れられることが多くなった。

心は素直だ。
一々ドキドキするし、触れられれば嬉しいと思ってしまう。
そしてその度に切なく、悲しく胸を締め付けられる。



サイドボードに入れられたままのファイルを見つけた。証人サイン入りの婚姻届。
今となっては見るのも辛くて目を背けた。

「……中也」

「なんだ?」

「ご飯何が食べたい?」

そう。何時も通りに。

「何でも良い」

「あらそれが一番困るのよ」

何時も通りにまた暮らしていけばいい。

「Aの作ったモンなら何でも」

「……そう、ねえ其処のスーパー寄ってくれる?」

「ああいいぜ」

「え」

「ああ?」

「マフィアがスーパーに行っていいの?」

「……うるせぇ。今は只の俺と手前だ」

「…ふふ、そっか」


夕飯はチーズインハンバーグに決めた。
もう一品はポテトサラダ。

「子供が居たら喜びそうなメニューだな」

「え?あ、ああそうね」

「はは、なに動揺してンだ」

「べ、別に」

子供が居たら、か。



「奥さん、試食いかが?」

「わあ」

店員さんに差し出されたウインナー。
あ、これ皮がパリッとなるやつ!
喜んで頂いてパリッと。うん、美味しい。

「ほら、旦那さんも」

後ろに居る中也にもウインナーが差し出された。
爪楊枝に刺されたウインナーを持った中也の姿が面白くて思わずクスクス笑う。

「何だよ」

「ふふ、面白い」

「うるせぇ」

「あっ、待って写メ撮るから」

仏頂面でウインナーを囓る中也をぱしゃりとして、姐さんに送信する。

「新婚さん?それなら、ほらもう一本」

満面の笑みで爪楊枝を2本差し出してくる店員さん。何て答えようか迷っていたら、横からすっと中也の手が伸びてきて爪楊枝を受け取った。

「ありがとうございます」

「わ、私達」

「ほら」

次の瞬間ウインナーが私の口に押し込まれた。
目を白黒させて必死に噛んで飲み込んでから中也を睨む。

「はは、一ミリも怖くねぇぜ」

「うるさい」

結局そのウインナーは買って帰った。



************

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ねこつりー(プロフ) - かれんさん» ふふふ中也は何させても様になりますからね( 〃▽〃) (2018年4月30日 12時) (レス) id: b59e44559a (このIDを非表示/違反報告)
かれん - 中也かっこよすぎです。 (2018年4月30日 11時) (レス) id: 529a00cb8e (このIDを非表示/違反報告)
ねこつりー(プロフ) - rikoriko51さん» 丁度彼の誕生日だったのでギザな台詞を言って貰いました笑 コメントありがとうございます!凄く嬉しかったです(T^T) (2018年4月30日 7時) (レス) id: b59e44559a (このIDを非表示/違反報告)
rikoriko51(プロフ) - HappyBirthday中也! 更新頑張ってください!楽しみにしています。 (2018年4月29日 23時) (レス) id: a789258bf1 (このIDを非表示/違反報告)
かれん - 楽しみにしてます! (2018年4月28日 18時) (レス) id: 2c537c1151 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ねこつりー | 作成日時:2018年4月20日 22時

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