感謝と抱擁 ページ30
静かな部屋に二人分の食事音だけが響く。
沈黙なのに、心地良い。
私この家に来てから心地良いと思ってばっかりで、確実に中也のいる空間に安堵している。
疲れて帰ってきた中也が美味しそうにご飯を食べてくれたら嬉しいし、おかえり、ただいまって掛け合いも擽ったいけど安心できる。
「…何か良いな、こういうの」
中也が箸を動かしながら、ぼそっと呟いた。
「何が？」
「誰かと、いや、Aと飯食うの」
しみじみと。
自分の言葉を噛み締めるかの様に。
「家に帰ったら手前が居て、手前が作った飯を食うのが良いってことだよ。…だから、ありがとなA」
凄いな中也は。
言葉が素直に真っ直ぐ届いてくるんだもの。
寝る前になって、やっと買い忘れに気付く。
「A、ベッドカバー買ったのか」
「あ！忘れてた」
献立に気を取られ過ぎて。
ああどうしよう。今夜も寝る場所の攻防戦が。
「ほら一緒に寝るぞ」
「え、あっ」
返事も待たず、腕をぐいと掴まれたまま中也のベッドへ。
昨日と同じ端と端。
間に寂しい空間が出来た。
灯りを消したところで、中也が寝返りを打った気配がした。
「A」
名前を呼ばれて、恐る恐る私も寝返りを打つと、案の定中也と向かい合う形になった。ただ大分二人の間が空いているけど。
「もっと此方来いよ」
「…うん」
灯りを消した後だったから。
お互いの顔がぼんやりとしか見えていなかったから。
隙間が空いているのが寂しかったから。
その理由は多々あれど、不意に高鳴った胸が一番の理由。
二人の間を埋めていく。
少し手を伸ばせば届く距離で動きを止めた。
ここから距離を縮めることなんてできない。
「…わっ」
私のそんな考えを見抜いて嘲笑うかのように。
中也が突然私を抱き寄せた。
これでもかってくらいに、強く。
「ちゅ、中也」
「いいだろ、こんくらい」
とくとくと中也の胸の鼓動が直ぐそばで聞こえる。あ、少し早い。
「…中也」
少し腕を緩めてくれた。
見上げる感じで中也と目が合う。
「私、明日から出社なの」
今日電話がきた。一つ任務と言うか、頼まれてほしい用事があるとか。
「だから帰る時間が合わないだろうけど…でもご飯なるべく作るから食べてね」
「ああ分かった。…おやすみ、A」
最後は言葉が優しく頭に溶けて
意識が遠退いていく。
完全に闇へと落ちる直前、また中也に強く抱き締められたような気がした。
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三連休更新頑張ります！
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ねこつりー(プロフ) - かれんさん» ふふふ中也は何させても様になりますからね( 〃▽〃) (2018年4月30日 12時) (
レス) id: b59e44559a (このIDを非表示/違反報告)
かれん - 中也かっこよすぎです。 (2018年4月30日 11時) (レス) id: 529a00cb8e (このIDを非表示/違反報告)
ねこつりー(プロフ) - rikoriko51さん» 丁度彼の誕生日だったのでギザな台詞を言って貰いました笑 コメントありがとうございます！凄く嬉しかったです(T^T) (2018年4月30日 7時) (レス) id: b59e44559a (このIDを非表示/違反報告)
rikoriko51(プロフ) - HappyBirthday中也！ 更新頑張ってください！楽しみにしています。 (2018年4月29日 23時) (レス) id: a789258bf1 (このIDを非表示/違反報告)
かれん - 楽しみにしてます! (2018年4月28日 18時) (レス) id: 2c537c1151 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ねこつりー | 作成日時：2018年4月20日 22時
