雄英潰し ページ20
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「勝手に他所様の円陣へ加わるのは良くないよ、イナ
サ。」
と声をかけられた彼は
「ああ、しまった！！
どうも、大変失礼致しましたぁ！！」
と頭をコンクリートに打ちつけて謝罪した。
うわ、痛そう…。
彼らは雄英高校に匹敵するほどの難関校、士傑高校の生徒だそうだ。
相澤さんの隣で他校生たちのやりとり眺めていると、士傑高校の女子生徒があたしをじーっと見つめてから微笑んだ。
何故かその微笑みが狂気を孕んでいるように見えた。
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生徒たちがコスチュームに着替え試験の説明を受けている間、あたしは相澤さんと傑物学園高校の教師であるMs.ジョークと共に観客席に座っていた。
「この子は参加しないのか？」
とあたしを指差したMs.ジョーク。
「あぁ、彼女は雄英の生徒じゃない。
ウチで保護してる…。」
と相澤さんがそこまで言うと
「そうか…この子が連合の…。」
とMs.ジョークは答えた。
あたしはどう認識されているんだろう…。
雄英高校のヒーローは皆優しかった。
けど、他のヒーローをあたしは知らない。
この世界のことをあたしは知らなさ過ぎる…。
やがて説明会場がゴゴォと音を立てて展開し、大勢の生徒たちが姿を現した。
「しかし20人とはなぁ、おまえが除籍してないなんて
珍しいじゃん！
気に入ってんだ？
今回のクラス。」
と言うMs.ジョークに
「別に…。」
と答えた相澤さん。
「ブハッ、照れんなよダッセェなぁ！
付き合おう！！」
と笑いながら言うMs.ジョークに
「黙れ。」
と相澤さんは呆れ顔でそう答えた。
「しっかしそれなら変な話だぜ。
例年形式は変われど、この仮免試験には一つの慣習
に近いものが存在する。
全国の高校が競い合う中で、唯一個性不明というア
ドバンテージを失っている高校。
体育祭というイベントで個性はおろか、弱点・スタ
イルまで割れたトップ校。
可愛いクラスなら言ってあげれば良いのに！
毎回まず初めに行われる…
"雄英潰し"のことを。」
と言うMs.ジョーク。
スタートと共に一斉に雄英生徒を狙ってきた他校生たち。
「雄英潰し…。
別に言わない理由もないが、結局やる事は変わらん
からな。
ただただ乗り越えて行くだけさ。」
と相澤さんは答えた。
相澤さんは生徒たちを信じてる。
あたしもみんなを信じてる。
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作者名：九音 | 作成日時：2021年3月3日 23時
